研究課題/領域番号 |
21K19921
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
朝山 章一郎 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 教授 (90315755)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 神経細胞回復 / 病因物質排除 / マルチ作用型バイオマテリアル / 認知症治療 |
研究開始時の研究の概要 |
アルツハイマー病は、発症してからでは治療できないという学術的方向性を転換し、発症後の患者を対象とした認知症の根治治療に挑戦する。そのため、血糖降下ホルモンであるインスリンのシグナル伝達促進による神経細胞回復、および、コレステロール末端修飾ポリエチレングリコール(Chol-PEG)による病因物質排除のマルチな作用機序を有するバイオマテリアルを創製する。得られるChol-PEG修飾インスリンを用いて、神経細胞を傷つける病因物質を排除するのみならず、既に傷んだ神経細胞の回復効果を有するマルチ作用機序により、認知症の根治治療薬を創製する。
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研究実績の概要 |
神経細胞回復(インスリンの作用)と病因物質排除(コレステロール末端修飾ポリエチレングリコール:Chol-PEGの作用)のマルチな作用機序を有するバイオマテリアル(Chol-PEG修飾インスリン)を創製し、認知症治療に挑戦している。本年度は、昨年度見出したChol-PEGのPEG分子量を500程度に短くしたChol-PEG500の形成するベシクルへのインスリンの内包を確実に証明するために、得られたベシクルの構造解析を有機材料ハイコントラスト透過型電子顕微鏡(JEM-1400)により詳細に行った。Chol-PEG500水溶液を各濃度で調製後、親水化処理したグリッド上にそれら水溶液を滴下し、酢酸ウラニル水溶液と混合して、余分な溶液を拭き取った。その後、JEM-1400を用いて、サンプルの形状を観察した。その結果、Chol-PEG500水溶液のいずれの濃度においても、球状の形態が一部観察されたが、得られるベシクルは表面が100%PEGで覆われているため、通常の方法では、観察が極めて困難であった。そこで、各種グリッドを検討すると共に、1%酢酸マグネシウムで処理することにより、Chol-PEG500ベシクルが視野一面に鮮明に観察できた。この時、観察された粒子径は、動的光散乱(DLS)での測定結果とほぼ一致していた。本手法は、本系の様な観察の難しい試料に対して、基礎的に有用な観察方法になると考えられる。今後、Native-PAGEでは再現が困難なChol-PEG500ベシクル内へのインスリンの内包を本手法により証明し、神経細胞回復と病因物質排除のマルチな作用機序を有するバイオマテリアルの創製を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経細胞回復(インスリンの作用)と病因物質排除(コレステロール末端修飾ポリエチレングリコール:Chol-PEGの作用)のマルチな作用機序を有するバイオマテリアル(Chol-PEG修飾インスリン)の創製の観点から、前年度発見した予期していないChol-PEG500によるベシクルの形成は、当初想定していたインスリンの内包するための手法において、好ましい構造となっている。従って、本年度はその構造体形成の証明に重点を置いたが、得られた基礎的な学術的知見は、一般的なDDS分野への波及効果にも繋がると共に、認知症治療への挑戦に貢献すると考えられるため。
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今後の研究の推進方策 |
病因物質アミロイドβの排除と神経細胞回復効果の検証のための細胞実験、マウス経鼻投与による脳内送達効率の評価、アルツハイマー病モデルマウスの脳機能向上解析へと、段階的に挑戦していく。
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