研究課題/領域番号 |
21K19941
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松尾 梨沙 東京大学, 大学院総合文化研究科, 学術研究員 (80909846)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ショパン / ピリオド楽器 / プレイエル / エラール / シングルエスケープメント / ダブルエスケープメント / バラード / パリ / 音楽博物館 / ショパン国際ピリオド楽器コンクール / シングル・エスケープメント / フランス |
研究開始時の研究の概要 |
フリデリク・ショパン(1810-49)の創作において、彼が実際に使用していた楽器(ピリオド楽器)の変遷が、その作曲にどう影響し得たかを検証する。とりわけ「強弱設定」に軸を置きつつ、彼の作品における重音連打書法と、彼の愛奏した楽器(特にプレイエル製)の年代や楽器毎のメカニズムとの関係がもたらす効果について考察する。 1年目はテレワーク中心でも可能な調査(オンライン資料閲覧、19世紀の楽器構造に関する国内外の書籍の収集・読解)から開始する。2年目はフランスを拠点とした海外での楽器博物館調査を開始する。さらに分析対象をグランドピアノからピアニーノ(縦型ピアノ)にまで広げる。
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研究成果の概要 |
本課題はF. ショパンの作曲と、彼が使用したピアノとの関係に注目したものである。特に彼が愛用したプレイエル社製ピアノはシングルエスケープメント機能であり、1830年代以降エラール社が開発したダブルエスケープメントに比べると、未だ急速な同音連打がしにくい楽器であった。こうした楽器の特性が、彼の《バラード》op. 38のコーダに代表されるような和音連打の演奏にどう影響するかに焦点を当てたが、結果として、①スピード感ある連打よりも一個一個和音を掴むような演奏法が適すること、②彼がワルシャワ時代に使用していた楽器の打鍵感覚の影響が後半生まで残った可能性があること、この二点が考察された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果の重要な意義は、「19世紀前半の欧州では現代のピアノと様々な点で機能の異なる楽器が使われており、さらに音楽家(ショパンかそれ以外の作曲家か)によっても、好んで用いられた楽器の特徴が異なる」という点である。現代のピアニストたちがこの点を踏まえることで、同じショパンの作品でも演奏解釈に広がりが生まれたり、演奏困難に思われた箇所でも当時のピアノの特徴を知ることで、その困難を解消できる可能性が生まれてくる。 また、本研究遂行の拠点となったパリ音楽博物館の楽器展示・演奏企画は大変参考になったため、そのノウハウを、今後は日本の音楽博物館の楽器活用や、子供や一般向け企画の充実にぜひ繋げていきたい。
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