研究課題/領域番号 |
21K19961
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
金 潤貞 早稲田大学, 坪内博士記念演劇博物館, 助手 (30906566)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 太田省吾 / 転形劇場 / 沈黙 / 小町風伝 / 裸足のフーガ / エジョト / 小劇場運動 / 抱擁ワルツ / 現代演劇 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、1970年代に日本と韓国で小劇場運動をしていた二つの劇団、「転形劇場」(日本)と「エジョト」(韓国)を取り上げ、上演した戯曲研究を中心に二つの劇団を比較・考察するものである。特にこれまで交流関係に集中されてきた日韓演劇研究と区別し、各国で個別的に研究されてきた小劇場運動を相互関係に注目して考察する。そうすることにより演劇史的重要性にも関わらず、極めて少ない二つの劇団研究を深めつつ、両国の現代演劇の同時代性を明らかにし、日韓演劇比較研究に新たなパースペクティブを得ることをその目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、1970年代に日本と韓国でそれぞれ小劇場運動をしていた二つの劇団、「転形劇場」(日本)と「エジョト」(韓国)を取り上げ、上演した戯曲を中心に二つの劇団を比較・考察するものである。二年目には「転形劇場」の主宰者である太田省吾の演劇思想の側面をこれまで以上に精査しつつ、一年目に引き続き、文献調査および戯曲、上演映像、批評、プログラム、チラシ、チケットなどの公演関連資料調査を行った。具体的には、早稲田大学演劇博物館所蔵の上演資料及び遺族所蔵の資料を用い、太田省吾の演劇論書『飛翔と懸垂』(而立書房、1975)、『裸形の劇場』(而立書房、1980)、『動詞の陰翳』(白水社、1983)などを検討しつつ、太田作の戯曲『小町風伝』(1977)と『裸足のフーガ』(1980)を分析・考察した。『小町風伝』については、韓国にて上演された当作品を、舞台における劇言語と身体表現に焦点を当てながら比較・分析した。『裸足のフーガ』については、前年度に行った『抱擁ワルツ』(1979)における「生命存在」の表し方とそのプロセスについて考えつつ、さらに太田の作品における「間」の使用がもたらす劇的効果について考えようとした。これらの研究過程を経て、太田省吾の演劇思想と戯曲の関係性が明確になり、彼の劇言語が持つ独自性が明らかになりつつある。研究成果として、『演劇学論叢』に論文(「太田省吾作『小町風伝』――韓国の舞台にて」)を掲載し、早稲田大学演劇博物館紀要『演劇研究』掲載予定の論文(「「表現」としての言語――太田省吾作『抱擁ワルツ』(1979)と『裸足のフーガ』(1980)における言葉」)を執筆した。また、これまでの研究成果を博士学位論文としてまとめることができた。一方、「エジョト」については、収集してきた1970年代の上演台本(個人蔵)の複数の作家について調査を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
二年目には、日本の劇団「転形劇場」についての研究を進めることができたものの、韓国の劇団「エジョト」についての研究成果がないため、計画通り進展したとは言い切れない。一次資料となる上演台本の収集はできたが、基礎調査の段階であることを反省しながら、やや遅れていると判断をした。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度には、今年新たに閲覧することのできた「転形劇場」の資料を精査し、これまでの研究を深めつつ、1970年代に書かれた未出版作品について考察を行う所存である。太田省吾自身が書いた演劇論集を含め、それらについて考察されている関連文献調査及び検討も進めていく。「エジョト」の上演作品については、資料の追加収集を進めていくと同時に、主宰者のバン・テスの演劇論と上演した作品の戯曲を分析・検討する。これら研究の成果は適切な発表場所を探し、論文および口頭発表として公開する。また、昨年度に調査を考えた研究対象の活動時期と同時代における西洋演劇界の状況について調査を行う予定である。
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