研究課題/領域番号 |
21K19962
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
由良 茉委 早稲田大学, 総合研究機構, その他(招聘研究員) (90905986)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 美術史 / ローランサン / 受容 / 日本 / マリー・ローランサン / コレクション調査 / フランス / 20世紀 |
研究開始時の研究の概要 |
マリー・ローランサンは、キュビスムをはじめとする20世紀初頭のパリの芸術動向と密接に関わった、フランス美術史上重要な画家の一人である。しかし、回顧展の開催や伝記の出版が行われてきた一方、美術史学的観点からローランサンについて論じた例は依然として少ない。 本研究では、日本に事務所を構えるマリー・ローランサン美術館をはじめとする国内の美術館等を中心に、未検討資料の調査を行いその内容を検討する。あわせて、国内の所蔵作品等を新たな目録として一覧化し、美術史の視点から画家の制作活動の全貌を明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は、まず前年度中に実施した名古屋市美術館での作品調査を踏まえ、《アポリネールの娘》(1924年頃、名古屋市美術館蔵)をめぐって、第76回美術史学会全国大会で研究発表を行なった。本発表では、《アポリネールの娘》のカンヴァス裏面に残るステッカーの発見などを通じて、1920年代当時大きな影響力を持った画廊との関わりを新たに指摘するとともに、本作が1924年に行われたあるオークションへの出品を目的に制作された可能性を提示した。発表に際しては、先生方や美術館の関係各位から様々なご質問、ご意見をいただき、ローランサンにおいてとりわけ異質な本作品について、考察を深めることができた。発表の内容は、令和6年度中に研究論文として投稿を予定している。 また前年度から引き続き、国内美術館(東京都)における作品調査を実施した。ただし本年度は、2023年12月から開催された「マリー・ローランサン-時代を映す眼」展(アーティゾン美術館)において、国内に所蔵されるローランサン作品の多くが展示される運びとなり、観覧する機会は得られたものの、各作品の所蔵館に赴いて個別に熟覧調査を実施するのがやや困難な状況となった。そこで、展覧会の終了後に改めて調査を計画することとし、今年は次年度に向けた調査作品および必要な文献資料のリスト化を進めた。特に、国立西洋美術館研究資料センターをはじめとする各施設において、アーティストファイルなどの資料を閲覧し、国内における画家受容を分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本国内で大規模な展覧会が開催されたことなどにより、個別での作品調査の実施が難しくなり、想定よりも調査活動が進展しなかった。作品調査については、会期終了を待って次年度中に改めて計画することとした。また、本研究においてはフランスにおける資料調査が必須と考えているが、訪問予定だった施設の休館などがあり、渡仏についても次年度に持ち越すこととした。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を延長し、まずは9月までを目処に、国内所蔵の重要作品について実見調査を進める。同時に、これまでの調査成果のまとめを進め、秋以降にはこれまでの調査データをもとにしたデータベースの作成に取り掛かる。あわせて、10月までを目処に渡仏を計画し、フランス国立図書館などの各施設で、データベース作成にあたり必要な一次資料の調査を行う。年度末には、国内所蔵の主要作品を一覧化した総合的データベースを完成させ、情報の公開を進める。
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