研究課題/領域番号 |
21K19963
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
尾崎 賛美 早稲田大学, 文学学術院, 助手 (60905868)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | イマヌエル・カント / ヨハン・ゴットリープ・フィヒテ / 自我論 / 自己規定 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、イマヌエル・カント(1724-1804)ならびに、イェナ期(1792-1799)のヨハン・ゴットリープ・フィヒテ(1762-1814)に依拠した自我論研究である。本研究は「自己規定の円環構造」という独自の観点から、両者の思想を接合させることで可能となる力動的な自我論の構築を目指す。とりわけ、理論的自己規定と実践的自己規定との相互的な連関の内に示される意識構造として自我を論じることにより、とかく超越論的なレベルでの議論にとどまる傾向にあった両思想家の自我論を、現実の意識の問題との連関を包含した動的意識構造の体系として明らかにすることを目指す。
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研究成果の概要 |
報告者は「自己規定の円環構造」という枠組みから、カントとフィヒテとの自我論を連関させる包括的な研究を行った。報告者はまず、自我と自我ならざるものとの相互規定的な連関構造をもって成立する自己規定的事態を、理論的文脈と実践的文脈とでそれぞれ明らかにした。その上で、これらふたつの文脈における自己規定的事態がさらに相互に(あたかも円を描くように)形成する〈円環構造〉に着目し、こうした連関構造を形成する働きという観点から「自我」概念の内実を究明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
カントやフィヒテに限らず、哲学的枠組みに定位した自我論研究は、しばしば難解で抽象的な議論という印象を与える。それに対し、「自己規定の円環構造」という観点からアプローチした本研究は、「自我」概念の内実を、我々の現実的な意識との連関において捉え、再構成することに重きを置く。 したがって、本研究の成果は、純粋で根源的な原理として「自我」を論じる傾向にあった従来のカントやフィヒテの自我論研究と比しても、より包括的な文脈から「自我」の内実に光を当てた点で、独自の意義をもつと評価できる。また「自我」や「意識」研究としても、哲学的な枠組みに限定されず、他の学問分野との接合可能性を秘めたものであると言える。
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