研究課題/領域番号 |
21K19969
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
田中 裕成 佛教大学, 総合研究所, 特別研究員 (50912408)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 異読 / 『ポタラ宮倶舎頌』 / 『倶舎頌』 / 『倶舎論』 / 世親 / 玄奘 / 真諦 / アビダルマ / 倶舎頌 / 『順正理論』 / 倶舎論 / 漢訳 / ポタラ宮倶舎頌 / 倶舎論本頌 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、ポタラ宮から梵文倶舎頌写本(以下『ポタラ宮倶舎頌』)が新たに発見され、チベット訳と内容的に同一のものと判断されていた。しかし、検討の結果、この新出写本は、第七葉までは確かに『ゴーカレ本』やチベット訳と同一内容であるが、第八葉以降では書体も変わり、内容面でも多くの特異点を有することを発見した。そして、そのような特異点の多くは真諦訳『倶舎論』所摂の『倶舎頌』に対応を見出すことができた。この事実に基づき、本研究では『ポタラ宮倶舎頌』の読解と『倶舎頌』諸本との比較研究を通して、学派間の思想的差異による、著者性のある哲学書の改変について明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では『ポタラ宮倶舎頌』の校訂版の制作、諸本の比較研究、背景調査をテーマに掲げ、研究を行い、次の三点の研究を行った。 第一に、暫定的な『ポタラ宮倶舎頌』全編に及ぶ暫定的な校訂テキストの制作を完了した。第二に、諸本の比較研究を行った。その結果、有名な「伝説(kila)」の語が諸本間で異なる取り扱いがなされていることが明らかとなった(田中[2022a])。第三に、諸本の背景調査を行った。その結果、AKK V.42-2の調査を通じて、『倶舎論』は時代に応じて常に最新バージョンにアップデートされていたことが明らかとなった(田中[2022b])。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で行う『ポタラ宮倶舎頌』を中心とした『倶舎頌』諸本の比較検討により、①漢訳の異読がインド由来であること、②著者性のある哲学書であっても思想的立場に基づいて改変されること、③異読は思想的立場に由来するものが存在すること、以上の三点が明らかとなった。 従来のアビダルマ研究では梵文『倶舎論』の発見以後、漢訳は等閑視されるようになり、梵文中心に研究が展開してきた。しかし、本研究により漢訳はインド由来の重要な情報を保持していることが明らかとなり、今後のアビダルマ研究における玄奘と真諦の漢訳の重要性が明らかとなったといえよう。
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