研究課題/領域番号 |
21K19983
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
篠原 学 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 講師 (90905978)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ミラン・クンデラ / 小説芸術 / 近代ヨーロッパ / モデルニテ / モダニズム文学 / 作品制作 / クンデラ / 近代 / 亡命文学 / 政治性 / 制作 / 作者 / フランス文学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ミラン・クンデラの著作に表れたモデルニテ(近代性)への志向を鍵として、クンデラの小説理念と、その理念が反映された小説作品をより深く理解することを目指すものである。 旧チェコスロバキアからフランスに亡命したクンデラにとって、フランス文学のモデルニテ(近代性)はどのような意味をもっていたのか。20世紀後半におけるヨーロッパの文化的・社会的な状況も視野に入れつつ、亡命作家の異文化に対する適応を示す一例として、クンデラにおけるモデルニテの問題を考察する。
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研究成果の概要 |
本研究は、チェコ出身のフランス語作家ミラン・クンデラ(1929年-)の文学論、とくに小説をめぐる思索のなかに、19世紀後半から20世紀前半にかけてのフランス文学の展開を特徴付けているモデルニテ(近代性)の意識が見て取れることに着目し、クンデラの小説理念を解明しようとしたものである。モデルニテは新しい表現形式の追求であると同時に、近代的であろうとする芸術家の態度でもある。しかしクンデラの見方では、今日、近代は危機に瀕しており、新しいことと近代的であることは両立しない。そのことがクンデラの小説理念を両義的なものにしていることが、明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は、亡命作家の異文化適応のモデルを示すものであり、自己のものとは異なる言語圏や文化圏の芸術・文学に通じていることが、独自の創造につながった例を提示している。このことは、グローバル化が進む社会における他者理解に、人文学的な素養が今後ますます必要になることを物語っている。 また、本研究の成果は、小説という文学形式が近代ヨーロッパを支える基本的な諸価値を体現していることを示してもいる。現代世界の成り立ちを知るうえでは、小説に学ぶべきことが多々あるということである。
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