研究課題/領域番号 |
21K19988
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
益 敏郎 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (80908195)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ドイツ文学 / ドイツ思想史 / 詩人と思想家の国 / 詩と哲学の協働 / 系譜学的研究 / 文化アイデンティティ形成 / 歴史哲学的ポエジー / シラー、ノヴァーリス、ヘルダーリン / ヘルダーリンとニーチェ / 歴史の創造的解釈 / ハイデガーの概念「詩作/思索する民族」 / ドイツ的啓蒙主義 / 物語とデモクラシー / 詩人たちの時代 / アラン・バディウ / シラー、ヘルダーリン、ノヴァーリス / 詩人と思想家の新しい「物語」 / ドイツの文化アイデンティティ / 詩と哲学 / 歴史と物語 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ドイツの歴史的転換点(仏革命、ドイツ帝国の誕生、二つの世界大戦、68年闘争等)における詩人と思想家の協働という観点から、ドイツ精神史の新しい系譜を提示する。これは、ナチズムにおいて一度断絶したとされる「詩人と思想家の国」のイメージを、新たな観点から現在にまで続く系譜として描き出し、同時に文化アイデンティティを常に構想せざるをえない近代社会の問題性と、新たに掲げるべき「物語」の可能性を追究する。
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研究成果の概要 |
ドイツの歴史的転換点において文化アイデンティティを再構想した詩人と思想家に着目し、仏革命期において歴史の自己理解を刷新した哲学者詩人の作品、ドイツ帝国の誕生に歴史解釈の破壊性と創造性を示した詩的哲学、世界大戦期における詩的、哲学的使命を帯びたドイツ民族という新しいイメージを明らかにした。当初予定していた1968年闘争以降の現象としての神話論の復権というテーマについては成果発表にいたらず、またすべての成果をまとめて「詩人と思想家の国」の新しい系譜の全体像を提示するにはいたらなかったものの、個々の成果において、近代ドイツにおける詩と哲学の協働の実態およびその歴史的功罪を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は、「詩人と思想家の国」とも言われるドイツにおいて、詩人と思想家の協働を新たな観点から捉え直し、近代社会において詩と哲学が担ってきた伝統性、合理性、主体性、単一的アイデンティティの批判という特異な役割を、大きな歴史的枠組みにおいて把握することにある。これはドイツの精神史のなかに新しく系譜的連関性を発見するにとどまらず、情感豊かに芸術を愛し崇高な理想に熱中するというよく知られた「詩人と思想家の国」ドイツの牧歌的イメージを覆す内容を持つ。この点に本研究の社会的意義が認められる。
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