研究課題/領域番号 |
21K20000
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大谷大学 |
研究代表者 |
荒井 洋樹 大阪大谷大学, 教育学部, 講師 (40909777)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 私家集 / 中古文学 / 和歌文学 / 平安和歌 / ひらがな |
研究開始時の研究の概要 |
ひらがなで記された文学がどのように展開したのかを的確に辿るため、本研究では私家集に焦点を当てる。私家集は各歌人の個人歌集である。ひらがな文学は九世紀末から和歌を中心として発達し、十一世紀初頭に『源氏物語』が記され、一つの到達点に至る。韻文(和歌)から散文(日記・物語)への展開を辿る上で重要な存在が私家集である。しかし、従来の研究では自撰家集や定数歌といった特殊な構成を持つものが主たる研究対象となっており、他撰とされたものや勅撰集入集歌を収集した家集の研究は立ち後れている。本研究はひらがな文学の展開の的確な把握を企図し、その基盤となる私家集の価値を再検討するものである。
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研究成果の概要 |
本研究の実施により、十世紀歌人の個人歌集である私家集の研究を進展させる糸口を見いだすことができた。具体的には、光俊本『躬恒集』下巻の三代集から撰歌した部分を取り上げ、基盤となった三代集の伝本系統を明らかにするとともに、不遇な躬恒像を構築していることを指摘した。また、西本願寺本『公忠集』の構成についても研究に着手し、家集の描く公忠像を浮き彫りにした。これらの成果により十世紀歌人の私家集研究が推進されることが期待される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、近年やや停滞気味であった十世紀歌人の私家集を取り上げ、どのような分析が可能であるのかを模索・提示することを目的とした。光俊本『躬恒集』下巻は三代集を出典とすることは知られていたが、本研究ではその撰歌基盤となった三代集の伝本系統を明らかにすることで、作成時期を推測した。同時に本作の描く躬恒像と院政期における躬恒像がおおむね一致することから、これを裏付けた。私家集研究は自撰家集やそれに類するものが重視され、他撰家集、特に勅撰集から撰歌された家集は等閑視されてきたが、それを取り上げる意義を提示し、成果を査読誌に掲載できたことに本研究の学術的意義がある。
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