研究課題/領域番号 |
21K20009
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
古本 真 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (20796354)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | コピュラ / 場所述語 / バントゥ / 類型論 / 文法化 / バントゥ系諸語 / スワヒリ語 / 機能変化 / バントゥ諸語 |
研究開始時の研究の概要 |
存在動詞や場所動詞(例:「太郎は家にいる」)から、名詞述語文を形成するコピュラ動詞「太郎は学生である」への機能の変化や拡張は、通言語的に起こりうる現象とされている。本研究では、アフリカのバントゥ諸語におけるこうしたコピュラの変化を解明する。分析に必要なデータは、主に文献資料から収集する予定だが、適宜アフリカに赴いてデータを収集することも考えている。この研究は、海外の研究者とも協力しながら行い、研究成果は国際会議でも発表する予定である。
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研究成果の概要 |
場所動詞や存在動詞、姿勢動詞が、名詞/形容詞述語文を形成するコピュラへと機能を変化させたり拡張させることは、通言語的にみて十分にありうる。本研究では、バントゥ系諸言語の資料を精査し、そこから得られたデータを対照させることで、バントゥ系言語のコピュラの機能の通時的変遷の解明を目指した。 バントゥ系言語の記述資料を精査した結果、バントゥ祖語の*-baに遡る形式が、いくつかの言語で、現在の状況を表す場所述語や、コピュラとして機能していることがわかった。そして、言語ごとの用法の違いから、この*-baに遡る形式が、場所動詞からコピュラへの機能の拡張の途上にある蓋然性が高いことが判明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
文法化と呼ばれる文法形式の発達は、離散的にではなく、一定の普遍的な傾向に沿って生じると考えられている。文法化に関してどのような普遍的な傾向があるのか、また、どのようなプロセスを経て文法化が進展するのかは、研究者の関心を集めるトピックの一つである。 本研究では、場所叙述や名詞/形容詞叙述に用いられる動詞に関して、バントゥ系の言語でも、世界のほかの言語でみられるのと似た変化が生じている可能性が高いことを明らかにした。この研究の意義は、これまで見落とされてきた個別言語の記述データに着目したこと、そうした記述データを類型論的な議論に落とし込んだところに集約できる。
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