研究課題/領域番号 |
21K20012
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
白石 將人 三重大学, 人文学部, 准教授 (60869816)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 小学 / 説文 / 中国語学 / 中国学 / 漢字 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、南唐から北宋にかけて形成された、南唐の徐カイが『説文解字』を改編した著書である『説文解字篆韻譜』を研究対象とする。本書には十巻本と五巻本が存在し、どちらが徐カイの原著で、どちらがその後に作られた徐カイの兄徐鉉による修訂本なのかについて、いまだ定論がない。この問題に対して、同じく徐カイの著作である『説文解字繋伝』との比較作業を通じて、結論を与えたい。また、『説文解字篆韻譜』十巻本、五巻本と『説文解字繋伝』の反切(音注)を比較分析して、それぞれの反切が指し示す音系の中国語音韻史における位置を確認する。
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研究成果の概要 |
『説文解字篆韻譜』は単独で書物として存在しているわけではなく、『説文解字』の簡略本として誕生したわけであるから、他の『説文』関連書籍のテキストとの関連の上で、テキストが存在していると考えられる。宋代、元代においては、必ずしも、『説文』の原文そのものが受け入れられていたわけではなく、現在から見れば、当時の人の主観によって改められたテキストが広く受容されていたことが明らかとなった。これは、『篆韻譜』という簡略本が、『説文』そのものよりも広く受け入れられていたことと軌を一にする状況であり、当時の学問傾向が、当時の需要に適合したテキストを作り上げ、それを流通させるものであったことを窺うことができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
中国古典のテキストは、過去から現在にいたるまでほぼ固定しているというのが、一般的な認識である。勿論、大体においてはその通りであるが、部分的な箇所においては時代によりテキストが変化しているのも事実である。特に、テキストの変化は、写本から印刷本へと書物の形態が変化した宋代に顕著に起こっている。本研究では、『説文解字』という書物を例として、宋代におけるテキストの変化の実相の一端を明らかにできた。このことは、中国文献学の研究においても、一般の中国古典テキストに対する見方についても参考価値を有する研究であると考えられる。
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