研究課題/領域番号 |
21K20023
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
上杉 未央 東洋大学, 経営学部, 准教授 (60906311)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | フランス文学 / 20世紀 / 第一次世界大戦 / ポール・クローデル / プロパガンダ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、フランスの文人外交官たちの第一次大戦における対外プロパガンダ活動に注目する。彼らが戦後に参与する国際協調路線は、戦時中の対外プロパガンダに既に表れ、戦後フランスの外交戦略の主軸となった文化外交の萌芽を戦時中の活動に見ることができるのではないか。この仮説を検証するために、プロパガンダ任務にあたったポール・クローデルを出発点として、文人外交官の任務と作品の関わりを精査する。従来の研究では、プロパガンダによる愛国心の鼓舞と敵陣の批判など好戦的な表現ばかりが注目されてきた。文人外交官の平和路線に注目することでフランスの対外プロパガンダの総体を捉えることを目的とする。
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研究実績の概要 |
今年度も、外交官作家ポール・クローデル研究を軸に、フランスの文人外交官たちの創作活動と外交活動の連関を検証し、二つの論文を発表したほか、4年ぶりに海外での資料調査を実施した。 (1)フランス人宣教師であり、東京帝国大学教授であったエック神父が作ったフランス文学受容の素地の中で、駐日フランス大使クローデルが、伝統主義という日本人に親和性の高い切り口をもって同時代の日本人に受容される様子を検討した。 (2)第一次大戦期と戦間期のクローデルのドイツをめぐる外交官業務が、彼のドイツ観の形成と文学作品への反映にどのように影響したか、「聖人」というモチーフに着目しながら検討し、論文を投稿した。同時期に創作されたフランスの聖人を取り扱う詩作品にあらわれるドイツの表象と、聖人の集会の場面がある戯曲『繻子の靴』3日目1場に、外交活動の痕跡を認め、クローデルの外交官作家としての特異性を明らかにした。 (3)世界各国の駐在体験をもとにした作品を発表する文人外交官として、クローデルと文学の分野でも親交があり、外交官の業務上でも深い関わりのあったノーベル賞作家であるサン・ジョン=ペルス(本名アレクシス・レジェ)の研究を開始した。2024年3月に科研費での出張にてフランスの外務省資料室で資料調査を行い、主にサン・ジョン=ペルスに宛てられた外交書簡から構成される「レジェ・ペーパー」一式を閲覧、撮影した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
産休を取得したため、進捗具合に遅れが見られていたが、論文投稿や海外での資料調査を予定通り進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、クローデルと他の外交官作家との比較研究により重きをおいて研究を進めていく。具体的には、2024年3月に資料調査で収集した、サン=ジョン・ペルスの外交資料を読み解き、外交官作家としての、両者の共通点と相違点を確認していく。研究成果は、日本クローデル協会例会で発表する予定であるほか、論文投稿も予定している。
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