研究課題/領域番号 |
21K20028
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
岸本 幹史 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (50912383)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 人類文化 / 相転移 / 機械学習 / シミュレーション / AI / 人文社会学 / 遺伝的アルゴリズム |
研究開始時の研究の概要 |
近年の進化生物学の発展に伴い、文化や社会の進化についても、従来の段階発展論や史的唯物論から系統進化論の援用が進みつつある。その中で、連続的な進化では説明できない事象も数多く、その顕著な事例が、狩猟採集社会から水稲農耕社会への生業形態の転換である。この進化における転換、断続平衡進化事象を、ある種の相転移と仮定し、シミュレーションを用いて、その蓋然性を検証する。本研究では、生業の構造変化を伴うような文化的相転移の定量評価手法の確立と一般化、断続平衡進化を説明するモデル(アルゴリズム)の開発と蓋然性の検証を、縄紋-弥生移行期の事例を通じて実施し、断続平衡進化を説明しうる文化進化モデルの確立を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、近代期の文化進化主義や段階発展はもちろん、近年の多系統進化論でも説明されない、社会の相転移や多系統分岐、その後の静的平衡相を説明する、断続平衡進化による新しい文化進化メカニズムの解明を通し、学術的問い「文化進化のメカニズムは何か?」の現代的説明法の確立を目指すことである。 初年度は、狩猟採集縄文社会から水稲農耕弥生社会への社会変化の時期を対象に、考古学研究者との共同作業を通じた具体的な遺跡資料データ(実データ)を用いて、文化・社会の相転移事象の定量評価を行った。分析対象データを、PoC的な位置づけを鑑み当初想定していた近畿以西の遺構データから、関東圏の黒曜石に関するデータへと変更している。また、定量評価手法・解析としては、もともと検討していた拡散度合いの評価に加え、グラフ理論の最小経路問題や最小全域木問題への適応も行った。 令和4年度は、第76回日本人類学会大会と第39回日本文化財科学会にて、学会発表を行った。前者では、黒曜石の交易の広がりを最短経路問題として取り組み、後者では、文化的な相転移現象の評価手法の提案を行った。 昨年度は、社会現象の相転移について、別アプローチを模索した。データの少ない、かつ、限定的な現象を対象とした相転移の考え方やアプローチでは、限界もあるため、現代の社会課題に対する相転移現象の観察と解明を行った。併せて、本来の研究課題に関連して、今までの結果を論文や書籍等にまとめ始めている。 本年度は上記に引き続き解析を進めるとともに、昨年度は実施できなかった学会での発表に加え、対外的な発表や論文等へのまとめなども引き続き行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染拡大により、当初予定していた遺跡の現地視察の中止や、他の大学とのディスカッション、ワークショップなど中止・延期などにより、一部計画通り研究を遂行することができなかった。一方、研究自体は計画通りであり、昨年度の実績をベースに、追加の分析や検討、評価を行い、開発環境面なども十分に拡充することができた。それらの成果は、第76回日本人類学会大会や日本文化財科学会第39回大会で発表している。以上より、総じてプラスであると考え、上記のように「おおむね順調に進展している」判断している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に沿い、研究を遂行していく予定である。現在、開発環境面での準備が整っていることから、プラットフォーム構築などにも着手していく。また、新型コロナウイルス感染拡大状況に留意しながら国内学会の発表は引き続き行い、昨年度は実施できなかった学会での発表や論文等でのまとめの作業なども積極的に行いたいと考えている。
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