研究課題/領域番号 |
21K20030
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 関西外国語大学 |
研究代表者 |
馬渕 恵里 関西外国語大学, 外国語学部, 准教授 (00612912)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ジョージ・エリオット / ジェイン・オースティン / 叙事詩 / 小説(史) / 小説形式 / 小説 / シャーロット・ブロンテ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、「叙事詩」と「小説」というある意味対照的な文学ジャンルの内容的、形式的特質に着目し、イギリスを代表する三人の女性作家―ジェイン・オースティン、シャーロット・ブロンテ、ジョージ・エリオット―の小説のテーマや内容を、各作品に特徴的な形式や技法と関連づけながら分析することで、各作家・作品の特徴を明らかにするとともに、その背後にある各作家の問題意識や小説観を探りながら、三作家の小説の中に、小説の発達および変容の流れと、それを推進した根源的な条件や根拠を見出し、イギリス小説の歴史の中に跡づけることを目指すものである。
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研究実績の概要 |
令和4年度に引き続き、令和5年度も、本研究課題の申請および交付内定時には想定していなかった、日本英文学会事務局の業務を担当していた。校務に加えて、年間を通して非常に業務量の多い事務局の仕事に対処しなければならず、学休期中も研究時間の確保が困難な状況が続いた。昨年度の「研究実施状況報告書」に記載した今年度の研究計画に沿って、ジョージ・エリオットの『フロス河畔の水車場』(1860)と『ミドルマーチ』(1871-72)の精読と分析を行ったが、論文や研究発表といった形で研究成果を公表できる段階まで研究を進めることができなかった。昨年度に続き思うような研究実績をあげることができない1年間になってしまったが、所属する日本オースティン協会より依頼を受けて『オースティンとエリオット――〈深遠なる関係〉の謎を探る』(惣谷美智子・新野緑編著、春風社、2023)の書評を執筆する機会を得ることができたのは幸運であった。同書には、本研究課題が対象とするジェイン・オースティンとエリオットの間の影響関係を各執筆者が様々な角度から検証する論考が収められており、多くの論考において、本研究課題が中心的に扱う両作家の作品(『エマ』(1815)、『説得』(1817)、『ミドルマーチ』)が取り上げられていた。それゆえに、同書の書評執筆は、オースティンやエリオットの小説のテーマや内容を、各作品に特徴的な形式や技法と関連付けて分析しながら、各作家の小説の中に小説の発達・変容の流れとその要因を明らかにするという本研究課題の遂行に直結する大変有益な作業となった。書評執筆を通して得た知識や視座を来年度の研究にぜひ活用したいと思う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて昨年度から生じている遅れに加えて、上述のとおり、本研究課題の交付申請および内定後に確定し昨年度より従事している日本英文学会の事務局業務への対応で、年間を通して研究時間の確保・捻出が困難な状況が続いていたことに加え、今年度は、唯一研究に従事するための時間を確保しやすい2月から3月末にかけての期間に、再びコロナに罹患しただけでなく、職場の異動にともなう転出・転入作業が発生し、そちらに時間を取られることになり、十分な研究時間を確保することが難しかったため、さらなる遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの影響はほぼ無くなり、令和6年5月末で事務局員の任期も満了となるため、最終年度となる来年度には着実に研究成果をあげられるよう努力したい。とくにこの2年間で満足に研究を進めることができなかったエリオットの小説のジャンル的・形式的特徴について、小説のテーマや構造・形式の点から考察を進めることで、「小説」の発達・変容の過程とその背景的要因や条件を明らかにするという、本研究課題の最終的な目標を少しでも達成したい。具体的には、来年度中に、「叙事詩」という観点からエリオットの『ミドルマーチ』を分析し、所属学会にて口頭発表を行う予定である。また、最終目標である単著の出版に向けて、『フロス河畔の水車場』に関する論考を論文にまとめるほか、オースティンの『エマ』についての論文執筆を再開したいと考えている。
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