研究課題/領域番号 |
21K20031
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 広島修道大学 |
研究代表者 |
石田 崇 広島修道大学, 人文学部, 助教 (90907007)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 名詞修飾 / 派生形容詞 / 名詞由来形容詞 / 関係形容詞 / 形容詞化 / 解釈強制 / 意味論 / 形態論 / 修飾要素 / 派生形態論 / 形式と意味のずれ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、英語の派生形容詞に注目し、研究代表者の博士論文 (Ishida 2021)で提唱された「名詞修飾に関わる形容詞は、それ自身が修飾要素として本来要求する特性を満たす形で解釈されなければならない」という仮説の妥当性を検証し、その一般化を行うものである。名詞修飾については、従来、修飾対象である名詞を基盤とした研究が主流であるが、本研究は、新たに、修飾要素である形容詞を研究の基盤とする。具体的には、派生形容詞に生じる解釈強制(coercion)という現象について、その原理と仕組みを明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究は、英語の派生形容詞による名詞修飾表現を分析対象とし、次の3点を明らかにした。(1)限定用法しか持たないといわれる関係形容詞(RA)が述語位置に現れる理由には、従来議論されてきた要因に加え、名詞の特質構造が関係する。(2)RA+N表現(例:atomic bomb)とN+N表現(例:atom bomb)は完全に同義であるとされてきたが、RAの派生分析に基づくと前者の方が解釈の幅が狭い。(3)語彙化した-ed形容詞による名詞修飾表現(例:forked road「分かれ道」)の特殊な意味は、代表者の博士論文(Ishida 2021)で提案された名詞修飾の仮説に基づくことで合成的に得られる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の意義は次の3点である。(1)形態論分野において、形容詞を基盤とした研究は極めて少ないため、当該研究分野に対する貢献が大きいことが期待される。(2)他の複雑語に比べて、派生形容詞の研究は遅れていると指摘される中、本研究の成果は、未開拓の部分が多い派生形容詞の性質を解明するだけでなく、英語形態論の内部構成に関する理解をより一層深めることにもつながる。(3)形式と意味の間のずれについて議論される中、なぜそのようなずれが生じるのかという言語学上の問いに対し、形態論と意味論それぞれの既存の理論を統合した独創的なアプローチによって、より原理的な説明を与えられる。
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