研究課題/領域番号 |
21K20037
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
太田 圭 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 助教 (30908520)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | レプリカ法 / 穀物利用 / 植物利用 / 擦文文化 / オホーツク文化 / 北海道島 / 東北北部 / 北海道 / 遺跡分布 / 住居内構造 / 火処 |
研究開始時の研究の概要 |
日本列島北部(東北北部・北海道)の縄文時代~平安時代併行の土器を対象にレプリカ法(土器に形成された圧痕のレプリカをシリコンで型取り走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して種実の分類群を同定する方法)による圧痕調査を行い、各地の穀物利用の推移やイネと雑穀(アワ・キビ・ヒエ)の比率変化を明らかにする。上記の地域でレプリカ圧痕データを集積するとともに、フローテーションにより得られた植物遺体のデータをデータベース化することで、圧痕と植物遺体のデータバンクを構築する。これらの基礎的データから日本列島北部における穀物利用の推移と他の考古学的データとを比較検討し、先史・古代における生業基盤の成立過程を解明する。
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研究成果の概要 |
本研究では日本列島北部、特にオホーツク海側地域の5~12世紀の土器を対象にレプリカ法による調査を行い、当該地域の穀物利用の展開を検討する基礎データを整備した。当該期のオホーツク海側地域ではレプリカ法の調査結果と炭化種実のデータから雑穀を利用しイネを利用していない可能性が高まった。一方、炭化種実で検出されるムギ類は東北北部を含む日本列島北部で圧痕として検出されなかった。圧痕と炭化種実の検出差はムギ類の利用形態を考えるうえで重要である。本研究では道央以南からオホーツク海側地域への雑穀利用の波及と定着を検討するための基礎データを得た。今後は基礎データの拡充と他の考古学的資料との比較が求められる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、5~12世紀の日本列島北部における穀物利用にレプリカ法による土器圧痕調査からアプローチした。東北北部~北海道島における古代・中世の穀物利用は、一部の文献に記録が残るがその実態は不明な点が多い。遺跡出土の炭化種実と圧痕では得られる種実が異なることが指摘されており、文献や炭化種実により「穀物が存在して当然」と考えられる時期や地域にレプリカ法を適用することで穀物利用の波及や定着をより具体的に検討する重要性が実証されつつあり、本研究では実証にむけた基礎データを獲得した。これらのデータから導きだされる古代・中世の植物利用は、現代の植物利用とその地域性を考えるうえでも有益なデータを提供する。
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