研究課題/領域番号 |
21K20053
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
土佐林 慶太 早稲田大学, 文学学術院, 助手 (10905764)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | インドネシア / マンスール / 東南アジア / イスラーム / 連帯 / 東南アジア史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、オランダ植民地期末期のインドネシア(当時のオランダ領東インド)におけるイスラーム運動、特にムスリムによる大同団結運動に着目し、その活動や思想形成が独立後のインドネシア社会に如何なる影響を与えたのかを考察するものである。本研究では、インドネシア・ムスリムの連帯を目指した活動とそれを率いたマス・マンスールというウラマー(宗教学者)に焦点をあて、植民地期末期にインドネシア・ムスリムが志向した国民国家像を分析し、インドネシア・ナショナリズム運動史におけるイスラーム運動とその指導者マス・マンスールの役割を明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、オランダ植民地期末期のインドネシア(1942年まではオランダ領東インド)におけるイスラーム運動、特にムスリムによる大同団結運動に着目し、その活動や思想形成が独立後のインドネシア社会にいかなる影響を与えたのかを考察するものである。具体的には、以下2点の課題に取り組むことにより、本研究の実現を図る。すなわち、①オランダ植民地期末期に、インドネシア・ムスリムの団結運動を主導したマス・マンスールの活動経歴と思想的特徴の分析、②植民地期末期のイスラームとナショナリズムを接合させる活動の分析である。 2023年3月には、コロナ禍以降初となるインドネシア調査を実施した。調査期間中は、インドネシア国立図書館(Perpustakaan Nasional Republik Indonesia)旧館、及び新館において、1910年代から1920年代にインドネシアで発行された定期刊行物を確認し、マンスールに関連する記事を収集した。研究成果としては、2022年12月に東洋大学で開催されたインドネシア懇話会第4回研究大会において、「マス・マンスール(K. H. Mas Mansoer)の初期活動に関する研究」という題目で研究発表を行った。従来のマンスール研究では、ムハマディヤ史の視点によるものが多く、ムハマディヤ参加以前の彼の活動は、十分に検討されてこなかった。本発表では、彼がムハマディヤに参加する1920年代までの活動を検討し、オランダ植民地期末期から日本軍政期にかけて、彼がムスリム団結運動の指導者、さらには、インドネシア・イスラーム運動を代表する指導者となった背景を実証的に明らかにした。現在は、上記のインドネシア調査で得た資料の分析を加えて、本テーマについての学術論文の投稿を目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度前半は、日本国内外における新型コロナウイルス感染症の影響により、当初予定していた海外の図書館・文書館での資料調査を行うことができなかった。そのため、国内やオンラインで公開されている資料の収集を行なった。それらとこれまでの調査で得た資料をもとに、ムハマディヤ参加以前のマス・マンスールの活動を中心に研究を進めた。しかし、オランダ政庁による植民地文書については、未だ充分に収集することできていない。2023年度に予定しているインドネシア・オランダ調査で、それらを収集する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に予定しているインドネシア・オランダ調査で、オランダ政庁による植民地文書を早急に収集する。また、マス・マンスール、及び同時代のムスリム指導者による独立国家に関する論考を分析し、植民地期末期のイスラームとナショナリズムを接合させる活動について検討を重ねる。それらを学術論文として、国内外の学術誌に投稿することを目指す。
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