研究課題/領域番号 |
21K20065
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0104:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鈴木 麻菜美 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特定研究員 (20911134)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 音楽 / 音楽と信仰 / イスラーム / スーフィズム / アルバニア / バルカン / 音楽と社会 / 宗教と音楽 / ベクタシ |
研究開始時の研究の概要 |
イスラーム神秘主義(スーフィズム)の「ベクタシ教団」のバルカン半島地域での活動を通して、今日のヨーロッパにおけるイスラーム思想とその実践がどのように構築されているのかを探求していく。特にヨーロッパの民衆にイスラームがどのように受容されているのかを解明するため、イスラーム思想と民衆文化が相互に影響して形成されたベクタシ教団の宗教的音楽実践に注目し、民衆の動態とともに展開するイスラームの形態を示す。「ヨーロッパのイスラーム」の研究はしばしばキリスト教徒との対立に焦点が当てられるが、本事例からは音楽実践を通じて歴史的・地域的に大衆化していったイスラームとスーフィズムの在り方を提示することを目指す。
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研究成果の概要 |
ヨーロッパにおいて歴史的・地域的に大衆化していったイスラームとイスラーム神秘主義(スーフィズム)の在り方を提示するために、本研究ではバルカン半島地域のスーフィー教団における音楽実践に焦点を当てた。調査対象であるベクタシ教団本部が置かれるアルバニアに加え、比較検討のためコソボやマケドニア、トルコにおいて観察やインタビュー、資料収集を含めた現地調査を実施した。結論として(1)バルカン半島の教団音楽におけるトルコ(オスマン帝国)とバルカン半島の地域的特徴の共存の傾向(2)タリーカの実践における知識共有ツールとしての音楽の役割(3)他宗教との共生を示す場における音楽の利用、などが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究課題を通じて観察してきたタリーカ(教団)の活動にかかわって実践される音楽からは、頑迷・不寛容といった一般的なイスラーム像とはちがった、地域住民が持つ文化や社会環境に合わせて柔軟に展開している「民衆のイスラーム」の一つの形が示された。これまでその重要性は指摘されながらも具体的な内容の究明までには至っていなかったタリーカの音楽の儀礼における音楽構造や役割などを複数のタリーカの事例から明らかにするとともに、ヨーロッパの一部として民族や宗教の入り乱れる環境で活動するバルカンのタリーカの音楽のからは、隣人たちとどのように付き合いながら信仰活動を守っていくかという異文化共存の在り方の一端も示された。
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