研究課題/領域番号 |
21K20067
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0104:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
吉田 真理子 広島大学, 人間社会科学研究科(国), 助教 (00911588)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 環境人類学 / 政治生態学 / ブルー・ヒューマニティーズ / マルチスピーシーズ民族誌 / 水産サプライチェーン / フード・スタディーズ / 代謝 / 不安定性 / 環境人文学 / ブルーヒューマニティーズ / 水産コモディティチェーン / 海洋変化 / 気候変動 / メタボリズム / 不確実性 / 資本新世・人新世 / 牡蠣 / 気候危機 / 人新世(資本新世) / グローバルコモディティチェーン / マルチスピーシーズ(多種)民族誌 / マガキ |
研究開始時の研究の概要 |
気候変動による海洋酸性化や海水温の上昇、養殖漁業の変遷、食消費の変容に伴う選抜育種など、マガキのコモディティチェーン(商品流通網)の各局面には様々なスケールで不確実性・不安定性が見られる。本研究の目的は、いわゆる「人新世」または「資本世」を特徴づけているこれらの動態を関係論的に分析することである。マルチサイテッドな民族誌調査を通して、複数のアクター(生産者、市場関係者、海洋生態・生理学者、バイオテクノロジーベンチャー、マガキや微生物叢、陸上養殖装置などの非人間の存在)の関わりあいから生じる不確実性・不安定性を考察し、環境人類学、科学技術社会論、ドメスティケーション研究に新たな視座を提供する。
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研究成果の概要 |
本研究は、マガキの水産サプライチェーンの変容を事例に、人新世/資本新世において重層的に立ち現れる不確実性・不安定性を考察することを目的とした。多拠点調査を通じて、多様なコモディティの形態が、市場流通における標準化・均質化と物質循環の安定化をめぐる複数のアクターの相互包摂的なつながりから生成されることを明らかにした。研究成果を米国人類学会、科学技術社会論学会、アジア研究学会、英国王立人類学協会等の重要な国際学会やワークショップで発表し、共編著『食う、食われる、食いあう マルチスピーシーズ民族誌の思考』『Cultivating the Ocean』を含む複数の和英書籍・論文として刊行した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、人新世/資本新世における不確実性・不安定性の連関を牡蠣のグローバル商品流通網を通して考察し、その際複数のアクターが牡蠣の安定供給と生態系保全を両立させるためにおこなう知識生成をマルチサイテッドに分析しようとする点に特徴があった。気候変動、養殖漁業形態の変遷、食消費文化の変容など、牡蠣の商品流通過程で見られる不確実性・不安定性は、近代西洋中心主義的な二元論にもとづく「ドメスティケーション」や「生態系保全」に回収できないスケールを生み出している。自然・文化概念をめぐる新たな視座を国内外の環境人類学・マルチスピーシーズ民族誌研究、科学技術社会論に提供することが可能となった。
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