研究課題/領域番号 |
21K20076
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0104:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
鈴木 遥 神戸学院大学, 人文学部, 講師 (40624234)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 自然資源 / インドネシア / 熱帯林 / 長期利用 / 東南アジア |
研究開始時の研究の概要 |
東南アジアの熱帯林では、農園や植林地の造成などの開発が進み、現地の人々の熱帯林資源の利用や資源領域を制限するような状況が生じてきた。本研究は、熱帯林から生産、分配された後の熱帯林資源の利用方法、特にメンテナンスなどによる長期利用可能性について、木造住居における熱帯材利用の事例から検討する。インドネシアスマトラ東岸を対象とし、海や川に関わる生業を生活基盤とし、入り江から入り江へ、島から島へと移住を繰り返す人々の移住履歴と、人々による木造住居の利用および住み継ぎなどを明らかする。これにより、村落を超えたより広域の地域において人々が木造住居を長期的に利用するための社会、文化、生態の要件を解明する。
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研究実績の概要 |
本年度の主な研究実績は、①昨年度投稿した論文の査読への対応、②対象沿岸村落における人々の居住と生業などとの関連についての分析、③国際セミナーの開催、であった。 ①について、昨年度投稿したインドネシア沿岸における人々による移住に関する投稿論文の査読結果を受け、分析の単位を同じ住居に暮らす家族となるようもう一度分析結果を見直し、修正した。また、集落内における人々の引っ越しというよりミクロな移動についての分析を追加することにした。この点については②でも述べる。査読にはすでに対応した。 ②について、①で指摘を受けた集落内におけるよりミクロな移動について、現地調査の情報をもう一度整理し直し、その傾向と要因を分析した。集落では人々による移住が頻繁に見られたが、一方で集落は人々が住み続ける場所でもあった。居住構成や集落の所有からは、人々が家族との関係に基づいて集落内で場所を変えながら住み続けていることが示唆された。また、土地を持たず、川や海に関係する生業を複合的に組み合わせるという生業様式が集落内に人々をとどまらせる要因の一つであると考えられた。集落のより内陸に引っ越す動きがみられた。その要因には、床上浸水や住居の傷みなどの波の被害、川底に溜まった堆積物によって住居基礎のメンテナンスができない点があった。 ③について、昨年度のウェビナーでの口頭発表を契機に、現地研究者との人脈が広がり、共同研究に向けた議論を進めてきた。これをさらに具体化するために、中心的な3名の研究者を招へいし、インドネシア沿岸における環境保全と社会発展に関する国際セミナーを開催した。その中では、環境保全における環境教育や実践の重要性、社会発展における観光の意義などを議論した。議論を踏まえ、環境保全と在来生業との両立に関するプロジェクトを開始するととし、準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、2023年4月から同年9月まで、新型コロナウイルス感染症に関連して、昨年度出産した子を自宅保育しながら在宅勤務を行った。また、同年9月から2024年3月まで、新型コロナウイルス感染症に関連して、昨年出産した子の看病や自宅保育などが断続的に生じた。このような事情により、昨年度持ち越した統計資料の分析を完了することができなかった。そのため、現地調査の情報と統計資料の情報との統合および分析がまだ進められていない。この理由で、研究がやや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
研究実施期間をもう一年延長させていただくことにした。本年度は、統計資料の分析を完了させることを最優先とする。そして現地調査情報と統合、補完させながら、対象地域における人々の移住や人口増加の偏りなどについて分析を進め、論文を執筆する。
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