研究課題/領域番号 |
21K20077
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0104:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | せとうち観光専門職短期大学 |
研究代表者 |
谷崎 友紀 せとうち観光専門職短期大学, 観光振興学科, 講師 (60908888)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | コレラ / 疫病 / 近世 / 旅 / 名所 / 信仰 / 歴史地理学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、旅が大衆化していた近世後期において、疫病の流行により旅人の行動と、旅の目的地に生じた影響を解明することである。具体的には、安政5(1858)年のコレラ流行下における旅の状況を、(1)旅人の出発地(旅の記録が多く残っている東国)、(2)街道沿いの地域におけるコレラとその情報の伝播過程、(3)伊勢や京都などの旅の目的地、といった3地点に着目して明らかにしていく。このように、非常時における旅の状況を考察することで、近世の旅の様相に加え、当時の人々が持っていた旅と疫病への認識を問うものである。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、旅の大衆化が進んでいた近世後期において、疫病の流行により旅人の行動と旅の目的地に生じた影響を解明することである。具体的には、安政5・6(1858・1859)年のコレラ流行を対象として、当該期における旅の状況を、旅人の出発地、コレラとその情報の伝播過程、旅の目的地という3地点に着目して考察する。 令和5年度は、令和4年度に引き続き、街道沿いの宿場に残されていた大福帳の分析をおこなうため、コレラの流行した安政5・6年を中心に、前後10年間について、大福帳に記された「旅人の名前」、「身分」、「出身地(出発地)」、「旅の目的」のデータベース作成を進めた。今後、データベースをもとに、疫病(コレラ)の流行によって街道の交通量に変化が生じるかを、旅人の身分や旅の目的といった視点から分析をおこなう予定である。 また、コレラ流行時における旅の実態と、地域での対応について検討するため、安政5・6年のコレラ流行時についての記録の調査をおこなった。その結果、田原藩において、安政5年の旅日記と、コレラ流行時の藩の記録が残されていたため、田原市博物館に所蔵されている安政5年の旅日記と、藩の記録である『在邑中日記』の分析をおこなった。その結果、田原藩にコレラが流入してきた際の状況や、対処法として特定の薬が用いられていたことが明らかとなった。今後、同様の資料を収集し、地域における差異や共通点について検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度におこなう予定であった大福帳の調査が、新型コロナウイルスの感染拡大により遅れ、その調査を1年後ろ倒しし、令和4年度におこなったため、全体的に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、令和5年度に引き続き、令和4年度に収集した大福帳の分析を進め、コレラ流行時における街道の交通量の変化について、旅人の用務や身分の視点から検討する。 また、各地に残されたコレラ流行に関する記事を収集し、疫病やその情報の伝播との関連について、地域ごとの共通点や特徴を検討する。 さらに、上述のようなコレラ流行時の人の移動や情報の伝播について明らかにすることで、近世の人々の旅観・疫病観について論じる。
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