• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

ナミビア牧畜社会の伝統的権威の復活に関する人類学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K20078
研究種目

研究活動スタート支援

配分区分基金
審査区分 0104:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
研究機関東京外国語大学 (2023)
国立民族学博物館 (2021-2022)

研究代表者

宮本 佳和  東京外国語大学, 現代アフリカ地域研究センター, 研究員 (10912412)

研究期間 (年度) 2021-08-30 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワード継承 / 記念式典 / 祭司 / 秩序 / 牧畜民 / 帰属意識 / 土地改革 / 伝統的権威 / ナミビア / アフリカ / 国家統治 / 非集権制社会 / 政治的公平性 / 法的権限 / 祖先の土地返還論争
研究開始時の研究の概要

本研究は、ポスト植民地期のアフリカにおいて注目される伝統的権威と近代国家体制の並存と葛藤という課題を、国家と交渉する人々のミクロな視点から探る。具体的には、南部アフリカのナミビア共和国に暮らす牧畜民ヘレロの伝統的権威が代表となり、近年活発化する「祖先の土地返還論争」に注目する。問題を取り巻く様々なアクターの分析を通して、植民地期に創造された伝統的権威が、独立後に土地への法的権限を与えられ、民主化の進行と共になぜ復活するのかを、非集権制社会の人々のあいだでの政治的公平性の生成という観点から考察する。

研究実績の概要

本研究は、ポスト植民地期のアフリカにおいて注目される伝統的権威と近代国家体制の並存と葛藤という課題を、国家と交渉する人々のミクロな視点から探る。具体的には、南部アフリカのナミビア共和国に暮らす牧畜民ヘレロの伝統的権威が代表となり、近年活発化する「祖先の土地」返還論争に注目する。問題を取り巻く様々なアクターの分析を通して、当該社会の網の目を構成する伝統的権威の地位を、植民地期の遺物として捉えるのではなく、人々が社会状況の変化に応じて文化的・社会的に生成する地位として捉えて考察する。
3年目は、新型コロナウイルス感染拡大が収まってきたものの、「祖先の土地」返還運動を中心的におこなう伝統的権威の継承争いが続いていたため、文献調査に比重を置き、争いの状況を見ながら可能な範囲でのフィールドワークを実施した。ナミビア中央部のヘレロの伝統的権威の形成過程について文献資料の検討をすすめながら、「祖先の土地」返還をめぐる論争についてこれまでの民族誌調査資料をもとに発表をおこなった。参加者からさまざまなご意見をいただき、思考の流れを整理することができた。フィールドワークでは、ジェノサイドがおこなわれた場所での記念式典に参加し、参加者と中央政治との関係について観察したり、文献に登場する伝統的英雄の子孫や継承者の一人である首長にインタビューをしたりするなど、限定的ではあるが本研究課題の伝統的権威の地位がつくられていく過程について検討することができた。
年度内の研究成果としては、祖先のとらえ方の前提となる、ヘレロをはじめとするヘレロ語話者の生と死についてのコスモロジーについて、機関誌の解説文や事典項目が刊行された。また、「祖先の土地」返還運動は、現代ナミビアの国政と強く関わっているため、ナミビアに関する時事問題を短報としてまとめたものが、所属先のウェブサイトに掲載された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス感染拡大の影響でフィールドワークが後ろ倒しになったため、全体の計画が遅れている。また、主なインタビュー対象である伝統的権威の各党派の関係者が、新型コロナウイルスに感染し、相次いで急逝し、継承者をめぐる対立が続いている。しかし、これまで実施することが困難であったナミビアでのフィールドワークと継承者へのインタビューが限定的ではあるが可能になったため、遅れを若干取り戻すことができた。

今後の研究の推進方策

最終年度となる次年度は、新型コロナウイルス感染拡大の様子と継承者をめぐる対立の状況を見ながら、フィールドワークを実施することを計画している。万が一、フィールドワークが困難な場合には、現地の状況を見つつ、オンラインでインタビューなどをおこなうことで研究を進めていきたいと考えている。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (17件)

すべて 2023 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件) 図書 (2件) 備考 (3件)

  • [国際共同研究] ケープタウン大学(南アフリカ)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [国際共同研究] ケープタウン大学(南アフリカ)

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [国際共同研究] ナミビア大学(ナミビア)

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] ナミビアのヒンバの儀礼とビーズーヘレロとの関係から2023

    • 著者名/発表者名
      宮本佳和
    • 雑誌名

      季刊民族学

      巻: 185 ページ: 44-49

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Traditional Authorities, Legal Power, and Land Disputes in North-West Namibia2022

    • 著者名/発表者名
      MIYAMOTO, Kana
    • 雑誌名

      Anthropology Southern Africa

      巻: 45(1) 号: 1 ページ: 16-29

    • DOI

      10.1080/23323256.2021.2013122

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書 2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] ナミビア北西部の牧畜民ヒンバ及びヘレロの禁忌と二重単系出自に関する事例報告2022

    • 著者名/発表者名
      宮本佳和
    • 雑誌名

      神戸文化人類学研究

      巻: 6

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] オリックスの角と蜜蝋でできたトランペット2021

    • 著者名/発表者名
      宮本佳和
    • 雑誌名

      ビオストーリー

      巻: 36 ページ: 1-1

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 「祖先の土地」返還論争を再解釈する―ナミビアのヘレロの事例から2023

    • 著者名/発表者名
      宮本佳和
    • 学会等名
      東京外国語大学現代アフリカ地域研究センター第79回ASCセミナー/日本アフリカ学会関東支部2023年度第3回例会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] チャンスとしての土地改革―ナミビアの牧畜民ヒンバ及びヘレロの事例から2023

    • 著者名/発表者名
      宮本佳和
    • 学会等名
      公開シンポジウム「アフリカの冒険的現代―偶然化に託す希望のチカラ」
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 国家の統治と「牧畜民的」生き方―南部アフリカの人類学的調査研究の視点から2021

    • 著者名/発表者名
      宮本佳和
    • 学会等名
      「牧畜社会におけるエスニシティとエコロジーの相関」研究会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] ナミビアのヘレロ語話者にとっての聖なる場所―19世紀後半の略奪行為と戦場跡との関連から2021

    • 著者名/発表者名
      宮本佳和
    • 学会等名
      南部アフリカ地域研究会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] ナミビア牧畜民ヒンバ及びヘレロの土地認識の研究―土地所有制度と「伝統的権威」をめぐる政治性と表出する多層性2021

    • 著者名/発表者名
      宮本佳和
    • 学会等名
      日本文化人類学会近畿地区研究懇談会博士論文発表会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] 「南部アフリカ(牧畜)」『世界の冠婚葬祭事典』2023

    • 著者名/発表者名
      宮本佳和
    • 総ページ数
      4
    • 出版者
      丸善出版
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 「現代アフリカにおける医療と統治をめぐって―南部アフリカ牧畜民研究の視点からのコメント」、井田暁子、梅屋潔(編)『アフリカにおける健康と社会―人間らしい医療を求めて』2023

    • 著者名/発表者名
      宮本佳和
    • 総ページ数
      209
    • 出版者
      風響社
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] ナミビア牧畜社会の伝統的権威の復活に関する人類学的研究

    • URL

      https://www.tufs.ac.jp/asc/activities/project/21K20078.html

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] researchmap

    • URL

      https://researchmap.jp/kkmiyamoto

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] 東京外国語大学現代アフリカ地域研究センター

    • URL

      http://www.tufs.ac.jp/asc/about/staff/post-4.html

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2021-10-22   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi