研究課題/領域番号 |
21K20088
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0105:法学およびその関連分野
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研究機関 | 帝京大学 (2022-2023) 京都大学 (2021) |
研究代表者 |
中岡 淳 帝京大学, 法学部, 助教 (50910840)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 同性婚 / 性的マイノリティ / 性的自己決定権 / 親の権利 / 離婚後共同親権 / 婚姻の自由 / 救済法 / 共同親権 / 親権 / 親の地位 / 憲法上の権利 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、①比較法的な見地から、婚姻の自由と親の権利に関する「憲法上の権利」の規範内容に関する分析を行い、②その権利規範の分析を踏まえて、家族法の憲法適合性に関する日本の裁判例の判断枠組を再構成することを試みるものである。また、これらの権利概念の理論構築のために、③アメリカ法やドイツ法を比較研究の対象とすることで、これらの法体系においても、同性カップルの婚姻や親子関係の法的承認を契機として、婚姻や親子関係に関する法的理解に大きな変化が生じていることを描写する。
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研究実績の概要 |
最終年度にあたる2023年度は、主として、①同性婚の救済方法に関する研究報告1件、②性的自己決定権に関する研究報告1件、③救済法に関する英文の研究書の翻訳の準備、④アメリカの憲法判例に関する近時の動向について紹介する記事1本の公表等を行うことができた。とりわけ2023年度は、経産省職員トイレ使用制限訴訟や性同一性障害特例法上の生殖腺除去要件違憲訴訟など、性的マイノリティの人権に関わる重要な最高裁の判断が示された年でもあり、これらの判例研究を通じて、「性的マイノリティの人権」という総論的な主題のもとに、本研究課題の研究対象である婚姻の自由や親の権利がどのように位置づけられるのかを考える機会を得ることができた。同性婚訴訟における原告らの主張に顕著に見られるように、性的マイノリティの人権の保護を求める裁判は、社会のマジョリティの家族形態や価値観を色濃く反映した既存の婚姻や親子の法制度のあり方を再考する契機となる。2023年度は、このような認識のもとに、改めて関連する国内外の裁判例や文献を再読し、婚姻の自由や親の権利の解釈論を構築し直すことに努めてきた。 2021年8月から始まった本研究課題全体の成果としては、(1)同性婚に関する日独米の憲法解釈について、5本の紀要論文、(2)同性婚訴訟札幌地裁判決に関する2本の判例評釈、(3)親の権利に関する1本の論説と1回の学会報告を通じて、本研究課題の研究成果を公表することができた。その他、本研究課題に直接関連するものではないが、アメリカの緊急権に関する理論的対立構造について公法学会で報告をする機会も得ることができ、振り返ってみると、当初の期待通りの成果とは言えないものの、総じて、充実した研究活動を送ることができたように思われる。
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