研究課題/領域番号 |
21K20102
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0106:政治学およびその関連分野
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研究機関 | 山口大学 (2023) 独立行政法人国際協力機構(緒方貞子平和開発研究所) (2022) 東京大学 (2021) |
研究代表者 |
麻田 玲 山口大学, 経済学部, 講師 (00767361)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | スリランカ / マレーシア / 都市 / 農村 / レジリエンス / 土地利用 / 経済成長と都市化 / 農村の持続 / 農村の維持 / 経済成長 / 発展経路 |
研究開始時の研究の概要 |
経済成長に伴う過度な都市集中を抑制し、農村も持続する発展にはどのような条件が必要だろうか。 本研究は、歴史的背景、複雑な民族・宗教構成など類似性を多く持つマレーシアとスリランカの発展経路を長期的な時間軸から再評価し、都市・農村間の人口の空間的配置が持続的な発展に与える影響を明らかにする。最終的には、2カ国の比較をとおして、一極集中が典型である従来の発展プロセスとは異なる、より分散的な発展を可能にするメカニズムの抽出を行うことを目的にする。
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研究実績の概要 |
2023年5月にマレーシアで現地調査を実施した。マレーシアでは、FELDA(マレーシア連邦土地開発機構)が1961年から実施しているマレー人を対象にしたプランテーションへの大規模集団入植事業は、初代に入植をしてきた家族から現代まで三世代続いているが、現世代はプランテーション離れが進んでいる。プランテーションにおける非マレー人化が加速していることがわかった。国家が主導する農村開発事業としてFELDAは国際社会から成功評価を受けてきたが、60年が経過した今、再評価の時期に来ているようである。他方、中華系マレーシア人が多く住む農村では、「農村」を逆手に取ったエコツーリズムが流行していた。ビジネスモデルとして各地で定着しつつある。農村からの離脱や活用は、マレー系、中華系で異なることから、地域別に観ていく必要がありそうである。スリランカでの調査は2018年以来で、経済危機の影響を農村と都市のどちらがより打撃を受けているのか、その中身はどう異なっているのか農村と都市にて調査を実施した。収入に変化がない、または減少していることから、価格の高騰はすべての人に打撃を与えているが、従来から貨幣経済への依存が高い都市部での影響の方が深刻そうである。特定の食糧品は政府が価格規制を行っているため、自由な価格設定は出来ないものの、販売する側は政府が値段を下げても応じない場合も多く、消費者からの不満が高まり問題となっていた(2023年現在)。農村においても経済危機の影響は深刻であるが、農村のレジリエンスの高さが際立っている地域も見られた。 どちらの国も、「植民政策」「プランテーション」「土地利用」という観点から都市と農村の現在を考えていく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
スリランカにおける経済危機は、人々を経済的、精神的に困窮化させたこともあり、また、物価の高騰もあって調査は容易ではない。マレーシアにおけるFELDA事業の再評価は同国内では比較的扱いにくいトピックでもあることから、資料収集やインタビューには慎重に実施している。翌年度、再度両国で調査を実施し、まとめていく。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は最終年となるため、マレーシア、スリランカで再度調査を行う予定である。マレーシアではFELDA事業の再評価をしていくが、2カ国の共通項である植民地政策の中でもプランテーションと民族をキーワードにまとめていきたい。
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