研究課題/領域番号 |
21K20104
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0106:政治学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田渕 有美 大阪大学, 大学院国際公共政策研究科, 招へい研究員 (10908792)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 宇宙政策 / 冷戦 / 科学者 / 冷戦政策 / 宇宙 / 米ソ関係 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、米国ケネディ政権における「平和のための宇宙(Space for Peace)」政策の展開を、従来看過されてきた科学者の役割に着目して解明するものである。先行研究では、冷戦期米国の平和目的の宇宙政策は米ソの戦略的考慮を覆い隠すレトリックや東西プロパガンダの副産物と見なされてきた。これに対して本研究は、1960年台前半のケネディ政権における宇宙政策決定過程を詳細に辿り、大統領科学諮問委員会(PSAC)が「兵器の存在しない、全人類にとって開かれた」宇宙を維持するという、今日に至る米国の「平和のための宇宙」政策の既定路線化を決定づけるうえで重要な役割を果たしたことを示す。
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研究成果の概要 |
本研究は、従来「冷戦構造」の派生物として理解されてきた米国ケネディ政権期の宇宙政策を、一次資料を用いた実証歴史学の手法に基づいて検討するものである。本プロジェクトでは特に、宇宙政策決定過程における大統領科学諮問委員会(President's Science Advisory Committee: PSAC)の役割に焦点を当て検討した。研究の結果、軍縮交渉と文民宇宙計画の両分野で科学者が大統領の助言役を務めていたことで、「平和のための宇宙」政策は通常の冷戦競争とは異なるコースをとることになった、という知見が得られた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
上記知見のポイントは、これまで切り離されて議論される傾向にあった文民宇宙計画と宇宙空間の非兵器化を一つの歴史として描き直す視角を提示したことである。これにより、従来は冷戦構造の外延として捉えられてきたケネディ政権の宇宙政策に対し、「平和のための宇宙」概念の普遍化という視点から、宇宙政策の歴史の多面性を提示することができる。このような学術的意義に加えて、本研究は歴史の教訓から、宇宙空間における国際規範の在り方や軍備管理・軍縮の発展可能性について示唆を与えるという点で社会的・政策的意義も大きい。
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