研究課題/領域番号 |
21K20109
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0106:政治学およびその関連分野
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
小松 寛 成蹊大学, アジア太平洋研究センター, 研究員 (50546314)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 東アジア国際関係 / 自治体外交 / パラディプロマシー / 地域外交 / 中華民国 / 中台問題 / 米軍基地 / 台湾有事 / 非国家行為体 / 冷戦 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、国際政治学では日米関係のみならず、東アジア国際関係における沖縄への関心が高まっている。その理由は、沖縄に駐留する米軍基地が日本だけではなく、韓国・台湾の安全保障にも大きく関わっているためである。しかし、これまでの東アジア国際関係と沖縄に関する研究は1972年の沖縄返還以前を対象としており、その後の実態はまだ明らかになっていない。そこで本研究は1980年代から90年代にかけての沖縄と台湾の関係に焦点を当て、それがどのように変化したのかを明らかにする。そして沖縄の米軍基地問題および沖縄と中国の関係が台湾ではどのように認識され、どのような対応が行われていたのかを考察する。
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研究実績の概要 |
本研究では沖縄返還後の沖縄と台湾の関係がどのように変わったのかを問う。沖縄返還後になされた日中国交正常化や冷戦終結が、沖縄と台湾の関係にどのような影響を与え、それが東アジア国際関係にとってどのような意味があったのかを、沖縄と台湾の関係を通して考察することが目的である。 2022年度はロシア・ウクライナ戦争の影響によって、いわゆる「台湾有事」への懸念が高まりつつあるとされる中で、沖縄と中台問題に関する歴史的研究から今日の情勢に対してどのようなインプリケーションが提示できるのかを議論した。 「日本復帰後の沖縄と中国および台湾との関係」(『生活経済政策』7月号)ではこれまでの研究成果を紹介した上で、沖縄・台湾関係の歴史的経緯に関する実証的な研究は現実的かつ地に足の着いた議論に資すことができるとまとめた。8月には「ロシア・ウクライナ戦争が与える中台問題への影響―沖縄の視点から―」と題した報告を早稲田大学平和学研究所主催シンポジウム『ロシア・ウクライナ戦争と日本 ―沖縄、核兵器、日本国憲法』にて行った。ここでは、ウクライナ侵攻が東アジアの安全保障環境、とりわけ中台問題に与える影響について、日米中台沖の反応を概観した上で、実際の戦場となりうる沖縄側の視点から考察した。11月には「沖縄から戦後日本国家を見る――沖縄から古関・豊下『沖縄 憲法なき戦後』を読む」(日本平和学会秋季研究集会)を報告した。ここでも今日の「台湾有事」をめぐる国際政治を念頭におきながら、『沖縄 憲法なき戦後』から得られた意義をまとめた上で、沖縄を起点とする東アジアの平和と安全の可能性について議論した。 2023年3月には台湾の中央研究院近代史研究所での調査を実施できた。外交部資料のほか、中琉文化経済協会の文書を収集することできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルスの感染拡大の影響により長らく台湾での調査ができず、ようやく2023年3月に実施することとなった。その内容について本格的な分析および考察はこれからとなるため、残念ながら想定よりも遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定では2022年度が最終年度であったが、新型コロナウィルス感染拡大の影響で台湾での調査を延期せざるを得なかった。そのため研究期間を2023年度まで延長することとした。2023年度はまず前半においてこれまで収集した資料の分析、特に1990年代の沖縄と台湾の関係について、安全保障と経済の両分野の実態の解明を実施する。その成果は論文として投稿する予定である。 2023年度後半には台湾での追加調査を実施し、2000年代以降の資料についても閲覧収集を行う。 また、東アジア国際関係における米軍基地に関する先行研究からは、沖縄のみならず在韓国米軍基地が地域に与える影響についても考慮する必要性に至った。そこで沖縄と韓国の現況やそれぞれが抱える課題などを比較検討するため、夏に韓国での現地調査を計画している。
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