研究課題/領域番号 |
21K20114
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0106:政治学およびその関連分野
|
研究機関 | 名古屋経済大学 |
研究代表者 |
水谷 仁 名古屋経済大学, 法学部, 准教授 (40788379)
|
研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | ヘルマン・ヘラー / ヴァイマール共和国 / 政治思想 / 政治と生 / 政治的主体像 / 政治共同体 / 責任 / 国家 / 弁証法 |
研究開始時の研究の概要 |
現代政治においては多様性が重視され、様々な価値の承認が追求されているが、それゆえに諸々の価値の間で対立が生じる可能性がある。ヘラーの政治思想は、多様な価値とそれらの間の対立を認めつつ政治的な統合を志向し、さらに、諸個人が政治的な統一体である政治共同体の中に生き、その政治共同体に対する自身の責任を自覚しつつ、その政治共同体を形作っていくことも想定されている。価値の多様性の承認と政治的な統合との相関関係を強調するこうしたヘラーの政治思想を、政治と生という視座から研究することには、現代的意義があると考えられる。
|
研究成果の概要 |
本研究は、ドイツの国法学者ヘルマン・ヘラーの〈政治と生をめぐる政治思想〉を提示した。彼の生きた時代であるヴァイマール共和国期は、ドイツ史上初めて国民主権が憲法によって保障され国民が政治=統治の主体となった時期であった。さらに、ヴァイマール憲法によって、同社会の一員として他者と共に生きる理念が提起されてもいた。本研究は、この時期に政治思想を展開したヘラーが、「生きている人間」と政治共同体との内的連関と、政治共同体への責任を自覚する政治的な主体像を構想していたことを明らかにした。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ヘラーは人間の多数性や多様性を尊重し、それゆえに生じる対立や闘争を率直に認めつつ、共同意識を通した結合によって政治的統一体が形成・維持・自己主張していく、というダイナミズムを政治に見出していた。さらに彼の政治思想において、特定の領域上で人々を強制し秩序づける国家という客体は、「生きている人間」という主体の無限に多数で多様な行為を統一していく「人間的-社会的な生の形式」であり、両者が相互に連関し共属して一つになっているもの、という国家観が存在していた。 本研究が提示するこうした〈政治と生をめぐるヘラーの政治思想〉は、現代社会が内包する多元性と統合とのアポリアに対する解決策としての意義を有している。
|