研究課題/領域番号 |
21K20147
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0107:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
猪野 明生 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 講師 (00908725)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 不完備市場モデル / 財政再建 / マクロ経済学 / 政府負債 / 不完備市場 / 世代重複構造 / 政府債務 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の対GDP債務残高は200%に近づき、将来の財政破綻の可能性を減らすために増税と 支出削減による財政健全化が声高に叫ばれている。しかしながら、長期的にどのくらいの債務残高を目指すべきかという議論はあまり進んでいない。将来世代の立場に立ち、あるべき債務残高についての議論を行うことは持続可能な社会を構築する上で有益である。 本研究の目的は、政府負債についてどのような政府負債対GDP比率を目指すべきか、また それを達成するためにはどのような経路を辿るべきかを明らかにすることである。
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研究成果の概要 |
本研究では、近年増税が行われ今後の増税についても議論が行われている消費税について、現在の低金利環境を再現できる不完備市場モデルを用いて低金利化での消費税率の在り方に関する研究を行った。モデルを現実のデータと整合的になるようパラメータを推計した場合、不完備市場モデルにおける消費税率は完備市場モデルの消費税率よりも高くなることが判明した。これは、不完備上モデルでは過剰貯蓄により金利が低くなるものの、過剰貯蓄をするためには消費を減らして貯蓄に回す必要があり、その結果消費税の対象となる課税額が減ってしまうためである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的価値は、不完備市場モデルにおける政府債務の研究において、政府債務を一定とした上で政府負債を一定に保つために必要な消費税率が完備市場モデルより高くなるという発見をしたことである。これは、不完備市場モデルでは過剰貯蓄の結果金利が低くなるため利払い額の減少に繋がるため必要な消費税率は低くなると考えられるが、過剰貯蓄により消費が減るため必要な消費税率は高くなるためである。この発見は、近年の低金利下での消費税率の在り方についても既存研究より高く設定すべきであるという政策インプリケーションを持つという点で社会的意義のある結果である。
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