研究課題/領域番号 |
21K20149
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0107:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 桃山学院大学 (2022) 大阪大学 (2021) |
研究代表者 |
浅海 達也 桃山学院大学, 経済学部, 講師 (90907726)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 貿易自由化 / 教育選択 / 所得格差 / 経済成長 / 教育補助金 |
研究開始時の研究の概要 |
貿易自由化が家計の教育選択に影響を及ぼすことは知られており、その影響は教育段階ごとに異なることもわかってきた。本研究はこの点に注目して、貿易自由化が経済成長と所得格差に及ぼす影響を分析する。まずは教育で得られる技術・知識が教育段階ごとに異なることを想定して、貿易自由化の影響を解明する。そして貿易自由化が経済成長を高めつつも所得格差を拡大させないように、教育段階別に異なる補助金の支給条件を設定する政策を検討する。
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研究成果の概要 |
本研究課題は貿易自由化による経済成長と所得格差への影響を、家計による二種類の教育選択の変化を踏まえて分析した。ここでは農業財に比較優位があり、貿易自由化で農業財価格が上昇する国に焦点を当てた。分析の結果、まず貿易自由化は農業部門で働く労働者の貯蓄を増加させて、資本蓄積による定常状態までの経済成長をもたらすことがわかった。次に農業財価格の上昇は中等教育まで受ける個人を減らすが、資本蓄積によって長期的には高等教育まで受ける個人を増やすことが明らかになった。ここから所得格差の縮小と拡大は個人間の教育水準次第で両方あり得ることが示された。さらに教育補助金等の政策の効果が世代間で異なることも示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
貿易自由化による家計の教育選択への影響は教育の段階によって異なり得ることが近年の実証研究で示されているが、その原因や格差等への影響については明らかになっていない。そこで本研究課題では貿易自由化による資本蓄積を通じた経済成長といった動学的な影響を考慮することで、貿易自由化が中等教育を受ける個人を減らしつつも、反対に高等教育を受ける個人は増加させるメカニズムを提示した。このメカニズムから、貿易自由化は全体的に所得格差を拡大あるいは縮小させるのではなく、どの教育水準間の格差かどうかで拡大と縮小が異なることが示唆された。これは貿易自由化に伴う格差拡大への対応を議論するうえで意義がある。
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