研究課題/領域番号 |
21K20151
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0107:経済学、経営学およびその関連分野
|
研究機関 | 立教大学 (2022) 九州大学 (2021) |
研究代表者 |
田中 醇 立教大学, 経済学部, 助教 (80908145)
|
研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
|
キーワード | 醤油醸造業史 / 食文化史 / 北部九州 / 地域性 / アミノ酸醤油 / 日本経営史 / 食文化 / 日本経済史 / 産業史 / 醸造業史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、戦間期から戦時期にかけての時期における北部九州地域の中小醤油醸造家の経営を明らかにすることを通じて、以下のような論点を考察する。第一に、戦時という特殊な時代において、中小経営が担っていた役割を指摘する。従来は軍需関連産業や大規模業者の役割ばかりに着目されてきたが、地方中小醸造家が特殊な地域性に基づいた醸造を行っており、同時代的に独特の存在意義を有していた点に着目したい。第二に、醸造家の製造方法の変化に伴う地域における需要者の嗜好形成過程を考察する。こうした点から、地域性と中小醤油醸造家の経営の間に存在した関係を明らかにすることから、地域の食文化についても考察したいと考えている。
|
研究成果の概要 |
本研究を通じて福岡県醤油市場における地域性の存在と、その具体的な特徴について明らかにすることができた。第一次大戦期から福岡県醤油市場において甘味類添加醤油が販売され始め、その発展型の醤油としてのアミノ酸醤油が、松喜醤油の経営拡大において果たした役割が指摘できた。現在査読中の論文の内容に踏み込むが、こうした地域性の発展が戦後から現代までの食文化形成に与えた影響を考える際にも示唆的な指摘を行えた。こうした戦後の醤油市場と地域性の展開については、今後の課題としてさらに研究を進める。また、地域性の全国的な特徴の相違や、各地域の事例研究の深化を行うことも今後の課題となる。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、これまではあまり注目されてこなかった醤油の地域性の具体的な形成過程について明らかにできた。 これは、学術的には地域性という醤油の味覚的な相違が、全国市場における醤油醸造家の経営に与えた影響がどのようなもので、どの程度のものであったのかを示唆するものである。 また、社会的意義としては、現在も残っている北部九州や日本海側の「甘い醤油」を好んで消費する文化の起源の一つを明らかにすることにつながっていることが指摘できる。すなわち、当該地域に暮らす人々の嗜好や食文化のルーツの一因を考えるヒントを与えることができた。
|