研究課題/領域番号 |
21K20174
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0108:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐々木 優香 筑波大学, 人文社会系, 特任研究員 (60907799)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 母語教育 / 移民第二世代 / 親子間コミュニケーション / 移民の社会統合 / 外国人児童生徒 / 母語・継承語教育 / 多文化共生 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、日本における外国にルーツをもつ子どもに対する母語・継承語教育の実態に着目する。多文化共生社会の実現に向けて、近年では外国人児童生徒に対する日本語習得支援にくわえ、母語や母文化に関する学習の場が求められている。だが、日本での母語・継承語教育の実施においては、主に法的・制度的な課題が指摘されてきた。こうした状況を踏まえ、本研究では、移住目的や滞日状況などの要因が母語教育の展開・継続へ及ぼす影響について社会学的観点から考察することで、各移住者集団の母語・継承語教育に対するニーズ把握や課題の抽出を行う。
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研究実績の概要 |
今年度は主に現地調査を中心に行った。具体的には、第一に「親子の言語使用と言語学習に関するアンケート調査」を対象地域において実施した。本調査は、公立学校に通う小学校5・6年生と中学校1~3年生の生徒とその保護者を対象としたものである。質問項目は大きく分けて、「家庭で使用している言語」、「言語が原因とする親子間コミュニケーションの課題」、「母語学習の状況」、「母語に対する考え方」、「日本語と母語の言語レベル」、「親の学歴・職業・滞日期間・日本語能力」、「親の言語継承に対する考え」などを問いとして設定した。また、これらのアンケートは、中国語、タガログ語、ポルトガル語の3言語に翻訳し、ルビをふった日本語と併記している。調査方法はGoogleフォームを用いた。 現段階の調査結果からは、それぞれの母語よりも日本語を重視する意見が多く見受けられている。しかし、集計率が伸び悩んでいるため、日本語を重視する家庭の特徴(親の日本語能力や職業など)や出身国との関係については考察が及んでおらず、今後は、対象地域を拡大し、有効回答数を増やした上で結果の集計、および分析を行いたい。 第二に、母語保持教室での聞き取り調査の準備を進めた。日本各地で公立学校の授業の一環として、あるいはボランティアとしてポルトガル語教室を運営している関係者にコンタクトをはかり、調査協力について了解を得た。2023年5月以降に現地調査を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本調査目的である、出身国の違いが母語教育への考え方や実施状況に及ぼす影響を考察するため、アンケート調査を複数の外国語で行う必要があった。調査対象地域で最も需要度が高い中国語、タガログ語、ポルトガル語への翻訳作業に多くの時間を要したが、無事に各言語での翻訳を終え、アンケート調査票を完成させた上で、昨年度にGoogleフォームを用いて調査を実施することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
母語保持教室への訪問や関係者への聞き取り調査をもとに、言語教育政策や多文化共生施策と関連づけながら、日本での母語教育の展開や課題について明らかにする。また、引き続き外国ルーツの親子を対象とするアンケート調査を行い、調査結果の集計と分析を行う。アンケート調査と聞き取り調査の結果を踏まえ、研究結果を学会報告や投稿論文にて公表する。
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