研究課題/領域番号 |
21K20196
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0108:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
松村 一志 成城大学, 文芸学部, 専任講師 (70909358)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | リスク社会 / エビデンス / 専門知 / 信頼 / 証拠 / EBM |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、リスク社会の挙動を歴史社会学的に解明するものである。原発事故やパンデミックに象徴されるように、リスク社会をめぐっては、専門知に対する信頼と不信の二極化が問題になっている。この点について、U・ベックは、一般人における「科学的論証の拡がり」が「科学者の知見の相対化」をもたらすとの理論仮説を提示している。本研究の目的は、この仮説の妥当性を歴史的に検討することにある。そこで、本研究は「科学的論証」の重要な要素である「証拠」の概念とそれに関わる実践の歴史を分析し、専門知に対する信頼と不信の趨勢を見定める。
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研究成果の概要 |
リスク社会の特徴の一つに、専門知に対する信頼と不信の分極化がある。この点について、ウルリッヒ・ベックは、科学の外部への「科学的論証」の浸透が個別の「科学的知見」の相対化を引き起こしたとの仮説を示している。本研究は、ベックの仮説を歴史社会学的に検討し、その精緻化を目指した。具体的には、「科学的論証」の重要な要素である「科学的証拠」概念の展開に着目し、科学の内部と外部における「証拠」の多元化が進んだ結果、内部と外部のズレが系統的に発生し、科学の提示する「科学的証拠」が科学の外部では通用しなくなるというメカニズムが働いていることが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
リスク社会論においては、リスクの取り扱いに関する経験的分析が進められ、科学の内部と外部の関係も研究されてきた。しかし、科学の外部における真偽判定の基準については、明らかになっていない部分が大きい。本研究は、「証拠」および「科学的証拠」の概念に着目することで、科学の内部と外部の真偽判定のズレやその形成過程を明らかにした。以上の作業はまた、専門知への不信にどう対応していくかという今日的問題に取り組むための重要な判断材料を提供する意味を持つ。
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