研究課題/領域番号 |
21K20213
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0109:教育学およびその関連分野
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
梅田 崇広 愛媛大学, 教育学部, 講師 (90908899)
|
研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | トラブルの不活化 / エスノグラフィー / 生徒間トラブル / 相互作用過程 / いじめ / 教育社会学 / ナラティヴ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,学級内における児童生徒間で生じる人間関係上のトラブル(児童生徒間トラブル)の相互作用過程に関するフィールドワーク調査から,トラブルから「問題」への生成・変容・消失過程(トラブルの「問題」化過程)とその過程における教師や児童生徒の解釈枠組みを明らかにすることである。 具体的な研究内容は、次の2点に整理される。第1に,学級内におけるトラブルの「問題」化過程に関する分析枠組みを再検討することである。第2に,その分析枠組みを用いて,トラブルが学級内で「問題」として構成される/されない相互作用過程,「問題」が消失・収束,あるいは解決・解消されていく過程を描き出すことである。
|
研究実績の概要 |
本研究は、小中学校における児童生徒間の人間関係上のトラブル(以下、児童生徒間トラブル)がいかなる解釈過程で「問題」化される/されないのか、その生成・変容・消失過程を明らかにするものである。そのうえで、2022年度の研究計画は、児童生徒間トラブルの消失過程に関する事例分析を行うことであった。本年度の研究実績は、以下のように整理される。 児童生徒間トラブルの消失過程に関して、トラブルが学級内で一度顕在化しつつも、不活化していく過程が教師や生徒のいかなる相互作用過程によって達成されているのか、という点について考察した。具体的に、学級内の成員間で微細な認知のズレを生じさせながら、トラブルの不活化が達成されていた点や、トラブルについての物語が、複線的なリアリティによって紡がれている点などを明らかにした。この成果は、日本教育社会学会誌『教育社会学研究』第111集に、「生徒間トラブルの不活化過程の記述―教師―生徒による不活化過程の相補的達成―」として掲載されている。 2022年度までに、児童生徒間トラブルが生成・変容・消失過程の記述を行ってきたが、2022年度の研究成果から、新たな課題として、トラブルの「解決」や「合意」をめぐる教師や生徒の認識や解釈過程の変容について分析する必要性があることがうかがえた。そのため、2023年度は、トラブルをめぐる学級成員間の「合意」に焦点を当てながら、継続的に学校でのフィールドワークを行い、事例分析をすることとした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021度までの事例分析の成果を投稿論文として整理することができたため、計画はおおむね順調に進展している。しかしながら、2022年度も新型コロナウイルス感染症の影響で、特に小学校での十分なフィールドワーク調査を実施することが困難であった。そのため、次年度、小学校でのフィールドワークを実施し、得られた事例をもとにデータ分析を行う予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は、2021年度に検討した分析枠組みを用いて、児童生徒間トラブルの「合意」や「解決」をめぐる相互作用過程の特質について検討を行う。これまで、中学校を中心にフィールドワークを実施してきたため、2023年度は小学校を中心にフィールドワークを行い、中学校の生徒間トラブルと小学校での児童間トラブルそれぞれの生成・変容・消失過程の特質や共通性について検討を行いたい。
|