研究課題/領域番号 |
21K20220
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0109:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
李 舜志 法政大学, 社会学部, 講師 (60907351)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 記憶 / 災害 / 表象 / 教育 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はランシエールの議論を参照することによって、災害や厄災と呼ばれる出来事が継承される際に何が生じているのか明らかにする。その際文献を収集し読解するだけでなく、災害や厄災の継承活動にも着目する。「リアルさ」や「共感」とは異なる価値基準で行われている継承の実践は、文献読解によって得た知見を時に補強し、時に修正を促すものであろう。このように、本研究は理論と実践を往還しつつ、「リアルな体験や記憶の継承=反戦平和」という戦後日本の言説空間特有の図式を相対化し、新たな記憶継承の理論的および実践的基礎を打ち立てる。
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研究実績の概要 |
2022年度は記憶と教育に関する論集への寄稿と、日本の教育哲学を英語圏に紹介する論集への寄稿のための執筆作業に取り組んだ。 前者ではジークフリート・クラカウアーの映画論および歴史記述論を参照しつつ、なぜカタストロフィの継承において個人の記憶にクローズアップするのかを検討した。 後者では日本の学校教育において第二次世界大戦や原爆投下がどのように教えられてきたか整理し、それに近年の教育哲学の動向をつけくわえ展望を示した。 両者は関連している。というのも「なぜ個人の記憶にクローズアップするのか」という問いは、体験者の語りを聴くことを重要視してきた日本のカタストロフィ教育の可能性と限界を問うことになるからだ。平和教育では、これまで戦争に対する生理的な嫌悪感を植え付けることに重点を置きすぎたのではないか、もっと戦争や外交について正確な知識と冷静な議論を学ぶ必要があるのではないか、と提起されてきた。この問題提起自体は間違いではないが、しかしそれでもなお、個人の記憶を継承する意義はあるのではないか。この点について、今年度は理論と実践の双方からせまった。 実践面では、丸木美術館の学芸員の方、ひめゆり平和祈念資料館の学芸員の方それぞれにお話を聴くことができた。そこではこれまでカタストロフィの記憶がどのように継承されてきたのか、そこでどのような工夫がなされてきたのかが話の中心となった。丸木美術館のほうでは芸術作品というかたちで原爆投下を継承すること、丸木夫妻の作品だけでなく現代のアーティストたちの作品も展示することについて、興味深いお話を聴くことができた。 ひめゆり平和祈念資料館では新しくなった展示の特徴や、コロナ禍前におこなっていたメモリーウォークという試みについてお話を聴くことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果を発表する機会があり、また実践に携わっていらっしゃる方々にインタビューを行うこともできた。したがっておおむね順調に進展していると言える。 しかし感染状況によりフィールドワークや海外の学会参加などを十分に行うことができなかった。感染状況が落ち着き次第、これらの活動も積極的に行っていく。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度から引き続き、なぜカタストロフィの継承において個人の記憶にクローズアップする必要があるのか、という点について理論と実践の双方からせまっていきたい。 2023年度は学会のシンポジウムで、記憶と教育について発表を行う。専門家以外も多く参加する学会であるため、自らの研究成果をより広く一般に開く工夫が必要となる。この点は今後の課題である。 また今後はテクノロジーを駆使した記憶継承について研究していく。戦争や原爆投下体験者の減少をおぎなうために、さまざまなテクノロジーの利用が検討されている。しかしこれら最新のテクノロジーによる「リアル」な体験は、カタストロフィの教育においてどのような意義を持つのか、「リアル」の内実とはどのようなものか、検討する必要がある。
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