研究課題/領域番号 |
21K20223
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0109:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 金沢学院大学 |
研究代表者 |
家崎 萌 金沢学院大学, 教育学部, 講師 (70908706)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 美術教育 / 中欧 / オープンフォーム / 他者 / 場、空間 / 教員養成 / ポーランド / プロセスの認識 / 教材開発 / 共同制作 / 場 / 空間 / 他者と共同 / 造形 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、日本の教育に今日求められている予測困難な状況に主体的に関わる資質・能力の育成に資する「コンフリクトに向き合う場」に焦点を当てた、大学の教員養成課程における他者と共同する美術教育授業の教材開発の土台を構築する。教材開発には、自らの意図と異なる他者と色や形をつくりかえながら場を共有し、互いのあり方を認識していく「オープンフォーム(Open Form)」という理論を応用した中欧の美術教育実践を手がかりとする。「オープンフォーム」発祥の中欧の美術教育の調査を行い、日本の教員養成系大学における美術教育で有効な教材を開発・実施していく視点や構造を抽出整理し、実践・検証に向けて環境を整備する。
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研究実績の概要 |
[1]前年度に収集したオープンフォーム理論や実践に関する資料を基に、戦後ポーランド発祥のオープンフォーム理論の特徴とその後の美術アカデミーでの美術教育への展開について考察し、学会発表(第61回大学美術教育学会宮崎大会)及び、論文(「戦後ポーランド発祥のオープンフォーム理論と美術教育への展開についての考察」『美術教育学研究第55号』)として発表した。内容は以下の通りである。 オープンフォーム理論を提唱したオスカー・ハンセンのマニフェストの記述からは、「量」と「質」の対比のレトリックと「客観的要素と主観的要素の相互浸透」の論理が見出された。次に、戦後の美術の動向とハンセンの建築や芸術への関わりを照らし、オープンフォームが美術アカデミーでの実験的政策に応用されていった背景には、政治的な状況に加え、理論の教育的側面や実装に関わるスケーラビリティの課題、若い芸術家たちの現実へ対峙しようとする動向や新たな技術の芸術制作への活用等が関連していることが明らかとなった。また、客観的要素と主観的要素の相互浸透やプロセスの認識を重視するカリキュラムは、日本の教員養成における美術教育にも応用可能性のあることを改めて認識できた。
[2] 日本国内の教員養成系の大学において、自らの意図と異なる他者との出会いや対話を重視し、美術教育における「コンフリクトに向き合う場」を企図した実践や理論的考察を行っている研究者に現地取材した。実践の詳細や理論的考察の背景をインタビューで聞き取り、関連した他の実践等の資料収集を行った。着想や理論的基盤はオープンフォームと異なるものの、日本の教員養成においても自己にコンフリクトをもたらすような他者とのやり取りを構造化した先行実践があることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
・取材対象のポーランドモダン美術館のリニュアル工事、それに伴う担当者の交代等により、渡航による取材日程を組むことができず延期となっている。 ・新型コロナウィルスの収束状況が不安定であったため、参加者を対面で集合させて行うパイロット実践の日程を組むことが難しく延期となっている。
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今後の研究の推進方策 |
【2023年度の前半】文献調査や国内大学調査により明らかになった実践の要点を構造化し、パイロット実践を実施する。日本国内のポーランド美術の研究者等に取材する。ポーランドのモダン美術館以外の取材先を再整理し、可能な場合には取材の渡航日程を組む。取材先の確保や日程上渡航が難しい場合には、より詳細な資料やオンライン取材のための機器等の整備に渡航費用を充てる。 【2023年度の後半】パイロット実践にて収集したデータを基に分析をすすめ、結果を論文に執筆する。取材調査の分析考察とパイロット実践の検証結果に加え、研究期間全体の成果を報告書にまとめる。作成した報告書を関連機関等に配布する。
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