研究課題/領域番号 |
21K20231
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0109:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
柳浦 猛 筑波大学, 教育推進部, 准教授 (90902289)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ラーニングアナリティクス / Institutional Research / 機械学習 / 学生リスク予測モデル / 統計差別 / 高等教育 / IR / 教育工学 / AI / Learning Analytics |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、大学生の学びに関するリスクを人工知能(AI)で予測するモデルを、「統計差別」(Arrow, 1973) という観点から検証・開発する。具体的には、まず現在国内外の高等教育機関で実装中の予測モデルを、首都圏中規模私立大学の数万人の学生・教学IRデータを用いて再現する。次に属性別に予測精度を比較し、特定の属性をもつ学生の予測誤差が顕著になるといった、AIによる統計差別の有無を検証する。最後に検証から得られた知見を用いて属性間の統計差別を制御するモデルを開発し、国内外の高等教育で倫理的なAI技術の実装に寄与することを目指す。
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研究成果の概要 |
多くの大学が、AIを搭載した早期警告システム(EWS)を使って、学生が最初の学期を始めると同時にサポートを提供している。しかし、EWS技術の基礎となるアルゴリズムが、学生の大学生活の早い段階で公正でな判断を下せるかどうか懸念がある。本研究は日本のある大学のデータを用いて、大学1学期のGPAを予測する機械学習アルゴリズムを開発しその公正さを検証した。本研究の研究成果は大きく二つある。一つは、早期のEWSの導入は属性差別的な判断を行う可能性が高いということである。もう一つは統計的に一般的に用いられている「公正なアルゴリズム」の達成が必ずしも公正な教育結果につながるとは限らないという点である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は以下の3つの点に要約される。一つは、高等教育における公正なアルゴリズムの議論は早期警告システム(EWS)の文脈で語られてこなかったが、本研究では公正なアルゴリズムとEWSの関連性を整理したという点である。もう一つは、公正なアルゴリズムの議論がこれまで統計的な議論に終始していたのに対し、それを公平な教育の関連性との観点から議論した点にある。3点目に、これまで高等教育における公正なアルゴリズムの研究は主に欧米の大学のデータを用いて行う研究が多かったが、そこに日本のデータを用いることによって、日本の観点を提供したということが挙げられる。
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