研究課題/領域番号 |
21K20244
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0109:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 金沢学院大学 |
研究代表者 |
米川 泉子 金沢学院大学, 教育学部, 准教授 (40637667)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 教育哲学 / 保育 / 幼児教育思想 / 絵本 / ヌスバウム / 世界市民 / ナラティブイマジネーション / 想像力 / 保育・幼児教育 / ケイパビリティ・アプローチ / 子ども / シティズンシップ教育 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、幼児期における絵本を通じた人間形成について、マーサ・C・ヌスバウムの「物語的想像力(narrative imagination)」の思想から理論的な基礎付けを企図するものである。 ヌスバウムは、遊びや物語で育まれる想像力を「物語想像力」と定義し、グローバル社会において社会正義を可能にする世界市民にとって必要不可欠な力として、ケイパビリティのリストの1つに掲げている。この思想を幼児教育において検討することで、絵本を通じた人間形成が、個人の能力育成の視点にとどまらず、グローバル社会における人間の尊厳の保障と社会正義の実現につながるという新たな理論的基盤を提供しようという試みである。
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研究成果の概要 |
本研究は、幼児期における絵本を通じた人間形成について、マーサ・C・ヌスバウムの「物語的想像力(narrative imagination)」の思想から理論的な基礎付けを目指したものである。これまで絵本による想像力の涵養などの個人の能力は、個人の内だけで論じられる傾向にあった。対して、本研究では「物語的想像力」の概念から検討することにより、絵本における人間形成はグローバル社会における「人間の尊厳」の保障や社会正義の実現につながるという、個人が生きる社会や共同体への広い視点をもつ特質を浮き彫りにした。絵本が子どもの「物語的想像力」を育むことを通して世界市民の一員へと誘うことを示唆できた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、高等教育を中心に論じられているヌスバウムの「物語的想像力」という思想を幼児教育での検討を試みることで、これまで個人内の能力の育成への着目が多い絵本を通した人間形成の研究に対して、人間の尊厳の保障としての側面から新たな理論的基盤を提供するという意義があった。世界市場経済による相互依存性や、相互有利性ではない、世界市民としての他者との関わりを育む基盤としての絵本の意義を提示した。
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