研究課題/領域番号 |
21K20273
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0109:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 独立行政法人大学入試センター (2022) 立教大学 (2021) |
研究代表者 |
江幡 知佳 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 助教 (20908157)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 教育評価 / 学修成果の可視化 / ルーブリック / DPルーブリック / 質的研究 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の大学において、学外への説明責任や教育改善への要請の高まりを背景として、主に量的アプローチを用いた学修成果の可視化が試みられている。だが、学生がどこで伸びたか/つまずいたか等、学修の過程をとらえ教育改善につなげるためには、質的アプローチに依拠した学修成果の可視化が必要といえる。 そこで本研究は、一部の大学で作成・活用が試みられている教育プログラムレベルのディプロマ・ポリシー(DP)ルーブリックに着目し、①学生の学修の過程をとらえるためにDPルーブリックの作成・活用にいかなる工夫が必要か、②学修の過程をとらえることがどのように教育改善につながるかを、事例研究等に基づき明らかにすることを試みる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、教育プログラムごとに設定される学位授与方針に基づくルーブリック(以下、DPルーブリック)が日本の大学の教育改善にいかなる役割を果たしうるかを考察することである。この目的を達成するため、研究期間の2年目に当たる本年度は、具体的な作業として、所属機関の研究倫理審査の受審、前年度の文献調査に基づくインタビュー調査対象大学の選定、調査依頼、調査実施(対象:計6大学の大学教育センター等/3大学は対面で、3大学はオンライン(Zoom)で実施)、報告書の作成等を進めた。また、現在得られた結果に関する分析の途中であるが、11月には研究の中間報告という位置づけで国内学会(日本教育制度学会第29回大会)での発表を行った。 インタビュー調査では、主な質問項目として、①DPルーブリックの作成・活用を開始した経緯について、②DPルーブリックの作成過程について、③DPルーブリックの活用過程について、④DPルーブリック自体の点検・改善について、⑤DPルーブリックを用いた教育改善について、以上5点を設定した。インタビュー調査の結果、大学におけるDPルーブリック導入の背景には、3つのポリシーに基づく教育の質保証体制を構築する必要性があったこと/DPルーブリックは、主に学生による自己評価やゼミの教員による他者評価等に用いられているが、評価実施率の点で(学部学科間で差がある等)課題を抱えていること/DPルーブリックの点検(信頼性、妥当性の検証)も今後の課題として認識されていること等が明らかになった。 ルーブリックは、課題/科目/カリキュラムレベルの3類型で理解されることが多い。それらのうち、本研究が対象とするDPルーブリックを含むカリキュラムレベルのルーブリックの開発過程に関する先行研究は少ない。本研究で得られた知見は、日本の大学におけるその開発過程に関する研究の蓄積の重要性を示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」でも述べたとおり、2022年度は、計6大学を対象としたインタビュー調査の実施や報告書の作成、学会発表等を進めることができた。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大やそれへの感染等に伴う自身の体調不良により、得られたデータの分析作業に遅れが生じ、学術論文化に至らなかった。ゆえに、「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
インタビュー調査を通じたデータの取得は既に終えている。2023年度は、引き続きデータ分析に取り組み、①元々、ルーブリックは作文の評価方法の標準化を目的として開発されたものであるが、その当初の目的を離れたカリキュラムレベルのルーブリック=DPルーブリックは、現在の日本の大学においていかなる役割を付与されているのか、②その役割を果たせているのかいないのか、③果たせていないのであればそれはなぜか、といった点について考察を深める。
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