研究課題/領域番号 |
21K20299
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0110:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
北原 祐理 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 学術研究員 (60911807)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 感情調整 / 思春期 / 心理教育 / 不安への対処 / 文化的自己観 / 感情への評価 / プログラム開発 / 感情の言語化 / 認知的評価 |
研究開始時の研究の概要 |
感情への否定的評価とは、怒りや悲しみなどに対する忌避的な価値づけであり、感情の表出や言語化を妨げる。従来の心理教育は、感情調整、すなわち感情をコントロールするための方略を学ぶものが多く、感情への否定的評価が感情調整にもたらす影響は見過ごされてきた。本研究では、思春期の子どもを対象として、感情への否定的評価がどのように感情調整を阻害または促進するかを実証し、感情への否定的評価を和らげる心理教育の効果について仮説検証をする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、感情への否定的評価を和らげる心理教育プログラムの開発である。2022年度は、これまでに得られた知見を踏まえ、心理教育内容を改訂し、効果を検証することを計画していた。当該年度は、新型コロナウイルス感染症の対策が緩和したことで、対面でのプログラム実施が可能となった。そこで、コロナ禍における学校側の要望を優先し、感情調整の中でも不安対処に焦点を当てた心理教育プログラムをスクールカウンセラーと協働して実施した。心理教育のテーマは、当初の計画から変更があったものの、プログラム実施前後に質問紙調査を行うことにより、効果検証を進めることとした。 当該年度に実施された心理教育プログラムは、認知行動療法の技法を基礎として、不安への気づき、他者の不安への共感、不安の受容などの相互協調的な不安対処の力を育てることを目的とした。各回のテーマに応じて、イラストと音声を併せたデジタル教材を用いて、物語調のワークを展開した。中学1年生を対象に全3回を実施し、プログラム評価に適すると考えられる不安対処のレパートリーを捉える尺度(未刊行)を使用して、実施前・実施後・実施後およそ3ヶ月の時点における得点を比較した。その結果、プログラム実施後に不安と関わる身体感覚や他者の不安への敏感さが向上する傾向が見られた。また、感情調整の文化的差異を考慮した検討を追加したところ、相互協調的な自己観が相互独立的な自己観よりも優勢な群で、他者の不安に共感し、配慮する傾向が時間の経過を経て高くなった。不安の受容や不安の表現に関しては変化が見られなかったため、不安感情への否定的評価の緩和に対する効果には課題が残る。以上の知見をまとめて、国内雑誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度および2022年度の実施内容を踏まえ、個別の感情ごとの心理教育プログラムの内容や効果について検証が進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究実績から、怒りや不安といった個別の感情に関する心理教育プログラムの方向性を見出せた。しかしながら、プログラムの実践にあたっては、学校の事情により内容や実践総時間の調整が必要となる場合があった。本研究は、「感情への否定的評価を和らげる心理教育プログラムの開発」を目的としたが、各年度で学校の要望に配慮して異なる内容を扱ったために、プログラムの雛形を作るという面では未達成の部分が残る。また、本研究の新規な着眼点である「感情の機能」に関する教育コンテンツの整備にも課題が残る。そこで、最終年度ではプログラムの内容とプログラムの運用の両面について、効果に関わる主要な要素を抽出し、雛形を精緻化していく。
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