研究課題/領域番号 |
21K20310
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0110:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 環太平洋大学 |
研究代表者 |
中井 和弥 環太平洋大学, 次世代教育学部, 講師 (10908651)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 愛着 / 小児期逆境経験 / 安全感のプライミング / J-SAAM / アタッチメント / 臨床心理学 / ACE / アタッチメントスタイルの一時的変動 |
研究開始時の研究の概要 |
世界中の多くの成人が小児期に虐待やネグレクト,親の離婚といった逆境を経験している。さらに,小児期に逆境を経験した人々は不安定な愛着が原因で多用な疾患に罹患しやすいことも分かっている。近年の社会人格心理学領域の愛着研究では,不安定な愛着を安定化させる介入手法として,安全感のプライミングが注目を集めている。極度に不安定な愛着を有する小児期逆境経験者においても当該介入手法の有効性が示されれば,そのような人々に対する効率的かつ安全な介入手法の提案につながる。そこで本研究では,小児期逆境経験者の愛着の安定化に有効な安全感のプライミングとその効果測定に用いる心理尺度を開発する。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は,小児期逆境経験者の愛着の安定化に有効な安全感のプライミングを開発することであった。まず,安全感のプライミングの効果を測定する心理尺度(State Adult Attachment Measure(SAAM))の日本語版の開発を行った。アタッチメントの状態安定性などを測定する当該尺度の信頼性と妥当性を検討した結果,SAAM日本語版は原版と同様の性能を有していることが確認された。続いて,安全感のプライミングの有効性を確認した。その結果,日本の一般成人および小児期逆境経験を有する人々どちらにおいても,安全感のプライミングはアタッチメントの状態安定性を高めていた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では,SAAMの日本語版を開発したことから,日本人において愛着の状態安定性・不安定性を測定することが可能となった。また,効果量は小さいものの,本研究で用いた安全感のプライミングは愛着の状態安定性・不安定性に影響を及ぼすことが示唆された。さらにその効果は,小児期逆境経験者においても遜色ないことが示されている。愛着の状態安定性・不安定性は,抑うつや不安といった適応とも関連する。そのため,愛着の状態安定性・不安定性に対するより大きな効果量を有する介入手法を開発することができれば,対象者の小児期逆境経験の有無に関係なく,精神的健康度を高めることができる可能性も示された。
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