研究課題/領域番号 |
21K20314
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0201:代数学、幾何学、解析学、応用数学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
奥村 真善美 北海道大学, 電子科学研究所, 特任助教 (80913045)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 数値解析 / 構造保存数値解法 / Cahn-Hilliard方程式 / 力学的境界条件 |
研究開始時の研究の概要 |
相分離現象を記述する、放物型偏微分方程式のCahn-Hilliard方程式系では、近年Liu-Wuにより新しい力学的境界条件下のモデルが提唱された。力学的境界条件は条件内に未知関数の時間微分を含む境界条件で、上記モデルは、領域内部と境界上の積分量がそれぞれで保存するという、特徴的な保存則を持つ。また、このモデルには領域内部と境界のエネルギーの和が減衰するという、総エネルギー散逸則が成り立つ。本研究ではそのような構造を保存する数値解法の離散変分導関数法に基づいて領域内部と境界の保存則および総エネルギー散逸則を同時に再現する、Liu-Wuモデルに対する構造保存スキームを構成し、その理論解析を行う。
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研究成果の概要 |
相分離現象を記述するCahn-Hilliard方程式に対し、Liu-Wu による力学的境界条件を課したモデルに対する数値アルゴリズムの結果を得た。Liu-Wuモデルは、領域内部と境界上の積分量がそれぞれで保存するという特徴的な保存則ならびに領域内部のエネルギーと境界のエネルギーの和が減衰するという総エネルギー散逸則を持つが、これらの構造を全て離散的に再現する構造保存数値スキームを構成し、また、その可解性について論じた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、構造保存数値解法の一つである、離散変分導関数法に基づいて、構造保存スキームを構成しているが、一般に離散変分導関数法では、その構造保存スキームが再現する構造は一つである。それに対し、本研究は、領域内部の構造と境界の構造の両方を厳密に再現する構造保存スキームを構成しており、より優れた数値スキームであることが期待される。また、離散変分導関数法は、同じ数理構造を持っていれば、個々の方程式に依らず幅広く適用可能であるという汎用性があり、今回開発した手法はそれに基づいているため、境界上で保存則を持つ他の問題に対しても適用可能であると考えられ、他の力学的境界条件下のモデルへの応用も期待される。
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