研究課題/領域番号 |
21K20323
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0201:代数学、幾何学、解析学、応用数学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
渡邉 天鵬 京都大学, 理学研究科, 特定研究員 (50913282)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | ランダム力学系 / ニュートン法 / ランダムアルゴリズム / 複素解析 / ランダム緩和ニュートン法 / 確率分岐 / multiplicative noise / ランダムニュートン法 / 複素力学系 / 確率的アルゴリズム |
研究開始時の研究の概要 |
与えられた関数の根を数値的に求める方法にニュートン法と呼ばれるものがあります.そのランダム化に関する数学理論を発展させることで,革新的な確率的アルゴリズムを提案することが本研究の目的です.真の根との数値誤差を評価することや根への収束速度とノイズとの関係を明確にすることを目指します.社会実装においても力学系理論においても重要なこれらの問いを,ランダム力学系という独自の視点から統一的に解決し,数値解析分野と力学系理論に新しい価値を創造することが大目標です.
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研究成果の概要 |
ランダム緩和ニュートン法を実装し,数値実験を通して数学的な予想を複数たてました.例えば,ニュートン法に十分大きいノイズをかけると求根アルゴリズムがうまく機能することは知られていましたが,ある例についてはとても小さいノイズでもランダムアルゴリズムが充分うまく機能することがわかりました.また,アルゴリズムに必要なノイズの大きさは,決定論的な緩和ニュートン法写像を一つの族と見たとき,その族の分岐が起こるパラメータと深く関係しているという数値結果が得られました.この予想を数学的に証明できれば,より良いアルゴリズムの開発につながります.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
工学を含むあらゆる数理的な課題の中で,与えられた関数の零点(根)を求めることはとても基本的で重要な問題です.本研究は,有名な求根アルゴリズムであるニュートン法にあえてノイズを入れることでアルゴリズムを改善できるか,という着想に基づいています.得られた成果として,ランダム力学系の確率分岐は決定論的な分岐よりも早く起こるだろう,という数学的にも実用上も重要な予想を発見するに至りました.これは,力学系理論の研究を新しい観点から開拓するという学術的な意義があります.また,実社会に対しても,(ランダム)求根アルゴリズムの改善を通して大きな影響を与えられる可能性を秘めています.
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