研究課題/領域番号 |
21K20327
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0201:代数学、幾何学、解析学、応用数学およびその関連分野
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
和田 康載 神戸大学, 理学研究科, 助教 (30836698)
|
研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | リンコイド / ミルナー不変量 / 仮想結び目 / ねじれ数 / 2k-移動 / 多重化 |
研究開始時の研究の概要 |
2010年代に絡み目の一般化にあたるリンコイドの概念が定義された。リンコイドの理論でも、結び目・絡み目理論と同様に、リンコイドを分類することが基本的な目標である。分類を行うには、同値なリンコイドに対し、同じ値をとるリンコイドの不変量を研究することが重要である。しかし、リンコイドの研究の歴史は浅く、不変量はわずかしか知られていない現状である。本研究では、絡み目の不変量の族であるミルナー不変量を、リンコイドの不変量に拡張することを試みる。これにより数多くのリンコイドの不変量を与え、リンコイドの分類問題の解決につなげる。
|
研究実績の概要 |
2次元ユークリッド空間にはめ込まれたm個の円周およびn個の単位区間で、多重点が横断的な2重点のみであるものを、(m, n)型リンコイド図式という(mとnは非負整数)。ただし、各2重点には交点の情報が与えられているとする。ライデマイスター移動と呼ばれる3種類の局所変形で生成される同値関係による(m, n)型リンコイド図式の同値類を、(m, n)型リンコイドという。とくに(1, 0)型リンコイドは結び目のことであり、この意味でリンコイドは結び目の一般化とみなせる。 昨年度に実施した研究により、絡み目のミルナー不変量を、(0, n)型リンコイドの不変量に拡張することができていた。そこで、本年度は絡み目のミルナー不変量を、1以上の整数mに対する(m, n)型リンコイドの不変量に拡張することに取り組んだが、残念ながら満足のいく結果を得ることはできなかった。 一方で、リンコイドとは異なる結び目の一般化にあたる、仮想結び目の研究について以下のふたつの成果が得られた。 (1) 仮想結び目の基本的な不変量であるn-ねじれ数と、2k-移動と呼ばれる局所変形との間に、関係があることを見出した。すなわち、ふたつの仮想結び目が2k-移動の有限列で互いに移り合うならば、それらのn-ねじれ数の値はkを法として合同であることを示した。 (2) 奇数nにわたるn-ねじれ数の和は、仮想結び目の奇ねじれ数とよばれる。この不変量は、クシイ移動と呼ばれる局所変形と対応することが知られている。この結果を踏まえ、2k-移動とクシイ移動を組み合わせて考えることにより、奇ねじれ数の2kを法とした合同類が反映する仮想結び目の幾何的な性質を明らかにすることができた。すなわち、ふたつの仮想結び目が2k-移動およびクシイ移動の有限列で互いに移り合うための必要十分条件は、それらの奇ねじれ数が2kを法として合同であることを示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
社会情勢を考慮して、当初の研究計画で予定していた、国内外の研究集会への参加をいくつか見送った。同様に、当初予定していた国内外の研究者との研究打ち合わせの実施をいくつか見送った。これにより、研究計画を変更せざるを得ず、本研究課題の期間を延長したため。 しかしながら、「研究実績の概要」欄で述べたように、仮想結び目の不変量と局所変形の研究に関して一定の研究成果が得られていることから、現在までの達成度を、(4) 遅れているではなく、(3) やや遅れていると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度の研究の進捗状況を踏まえて、今後の研究として、主に以下のふたつの研究を推進する予定である。 (1) 本年度達成できなかった、絡み目のミルナー不変量を、1以上の整数mに対する(m, n)型リンコイドの不変量に拡張することに取り組む。 (2) 本年度得られた、2k-移動とクシイ移動を組み合わせて得られる同値関係による仮想結び目の分類を、2成分仮想絡み目へ拡張することに取り組む。これまでの研究で、クシイ移動で生成される同値関係による、2成分仮想絡み目の分類が得られている。そこで、この結果を精査し、改良することにより、当該課題の解決を図る。
|