研究課題/領域番号 |
21K20349
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0202:物性物理学、プラズマ学、原子力工学、地球資源工学、エネルギー学およびその関連分野
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小澤 孝拓 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (20910144)
|
研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 金属水素化物 / 拡散 / 量子効果 / 水素 |
研究開始時の研究の概要 |
水素は質量が軽いため,様々な場面で強い量子性を示す.しかし水素原子を直接観測することは難しく,低温での水素拡散における量子的な振る舞いは明らかではない.本研究では,非平衡な水素分布からの緩和を電気伝導測定によって観測することで低温における水素の拡散頻度を精密に測定し,温度依存性や濃度依存性,同位体効果から,量子拡散におけるフォノンや電子系の影響,さらには水素間の動的相互作用の影響を実験的に明らかにする.
|
研究成果の概要 |
水素は質量が小さく,低温においてはトンネル効果による量子的な拡散が期待される.しかし,水素の直接測定の難しさから低温での遅い拡散を計測することは容易ではなく,その詳細な機構は明らかにされていない.本研究では電気伝導測定を用いた固体中水素の拡散頻度の計測手法を確立し,PdとPt中の水素の拡散頻度の精密な測定に成功した.水素化物の構造解析には,イオンチャネリングと共鳴核反応法を組み合わせた手法を用いた.拡散頻度の温度依存性や濃度依存性,同位体効果および拡散径路について詳細に解析を行い,水素の量子拡散におけるフォノンや電子の影響について調べた.
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
水素貯蔵材料への水素吸蔵・脱離,触媒表面での水素化反応,燃料電池の固体電解質におけるプロトン移動など,水素の拡散は様々な場面で重要である.水素は質量が小さいため,特に低温においては量子的な性質が露わとなる.しかし水素を直接観測することは難しく,これまで低温における固体中の水素拡散はほとんど観測されてこなかった.今回,電気伝導測定およびイオンビームを用いた構造解析を駆使し,低温における水素の拡散頻度の計測と拡散径路の同定に成功した.低温の水素拡散の計測方法を確立した本研究は,水素の量子拡散の本質的理解に向けて重要な意義を持ち,効率的な水素吸蔵など応用面への貢献も期待できる成果である.
|