研究課題/領域番号 |
21K20374
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0204:天文学、地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 流体フラックス / 岩石流体反応帯 / 地震活動 / 地震モーメント / 地震規模 |
研究開始時の研究の概要 |
地震発生に地殻内の流体が深く関与することが,認識されているが,地殻内で流体がどのように移動するかについては,地熱地帯などの一部の例を除いてはほとんど明らかにされていない.流体流動現象をコントロールする物理パラメータは浸透率である.すなわち,流体-岩石反応帯に保存されている地球化学的証拠を使用して、流体の浸透時間、時間積分された流体フラックスを推定し、それらを地震モーメントとマグニチュードの推定に結び付けることが申請者の手法である. 本研究は,流体の浸透によって引き起こされる地震活動を理解し、そのモデルを提供し,流体駆動による地殻の破砕と地震活動を高い解像度で理解することを目的とする.
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研究実績の概要 |
地殻内の流体による地震発生のメカニズムの新しいモデルを開発したい. この研究は、実際の流体-岩石反応帯のサンプルからの熱力学的モデリングと,その時間発展から浸透率の時間変化を明らかにして,流体量(フラックス)と組み合わせて、地震イベントに関与する流体の諸元を明らかにして,地震発生プロセスを理解することを目的としていた. この目的を達成するための必要なすべてのパラメーター(流体浸透、流体圧力勾配、浸透率の変化のタイムスケール、流体フラックス)が岩石サンプルから推定され、Mindaleva et al. (2020), Mindaleva et al. (2023)に記載された. Mindaleva, D., Uno, M., & Tsuchiya, N. (2023). Short-lived and voluminous fluid-flow in a single fracture related to seismic events in the middle crust. Geophysical Research Letters, 50, e2022GL099892. https://doi.org/10.1029/2022GL099892 Mindaleva et al. (2023)では、反応性輸送モデルと反応帯内のSi変質プロセスに焦点を当てた熱力学解析の連成により、流体駆動型地震活動を誘発するのに必要な流体量を推定している. 推定された流体量(101-104 m3)は、潜在的な地震イベントのモーメントマグニチュードを概算するために使用される. 単一亀裂を通る流体の流れは、下部-中部地殻の揺れやスロースリップ現象の震源域の上で地震活動の発生を制御する鍵となる可能性がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この研究の主な目的は達成され、論文は出版された Mindaleva et al. (2023). Mindaleva, D., Uno, M., & Tsuchiya, N. (2023). Short-lived and voluminous fluid-flow in a single fracture related to seismic events in the middle crust. Geophysical Research Letters, 50, e2022GL099892. 現在は、測地学的・地球物理学的データを解析し、変成岩の流体岩石フラックスと関連付ける作業を行っている.これによって、変成岩と地震活動の時空間的な関係を理解することができる.
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今後の研究の推進方策 |
モデル全体を計算するために必要な個々のパラメータを推定するのは時間がかかるので、その方法論を改善する必要がある事が分かった. そこで、熱力学的なモデル化ではなく、流体包有物から流体圧力や応力分布を推定する新しい方法を検討している. もし成功すれば、より簡単に、より広い範囲の岩石に適用できるようになると予想される.
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