研究課題/領域番号 |
21K20384
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0204:天文学、地球惑星科学およびその関連分野
|
研究機関 | 気象庁気象研究所 |
研究代表者 |
川上 雄真 気象庁気象研究所, 全球大気海洋研究部, 研究官 (60906890)
|
研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 黒潮 / 黒潮続流 / 北太平洋 / 亜熱帯循環 / 風成循環 / 高解像度海洋モデル / 時間変動 / アリューシャン低気圧 / 亜熱帯高気圧 / 大気海洋相互作用 / 表層水塊 |
研究開始時の研究の概要 |
北太平洋の西部亜熱帯域には、黒潮・黒潮続流と黒潮反流によって構成される黒潮海流系が存在している。黒潮海流系は北太平洋の気候に大きな影響を及ぼすため、その時間変動に関する理解が重要になっている。これまでの研究で、黒潮海流系の時間変動は、大規模な大気海洋変動の影響を受けるということが明らかになっているが、どのような変動がどの程度の影響力を持つのかは、必ずしもよくわかっていない。本課題では、海洋モデルを用いた数値実験により、黒潮海流系を構成する各海流の流量の時間変動の要因を定量的に調査・評価し、黒潮海流系の詳細な変動機構を明らかにすることを目指す。
|
研究実績の概要 |
2023年度は国際学会で研究成果の発表を行った。7月下旬から8月上旬にシンガポールで開催されたアジア・大洋州地球科学会(AOGS)の年次大会において、1件の口頭発表と1件のポスター発表を行い、2021年度及び2022年度に国際誌に発表した論文3編の成果を発信した。 また、2023年度は二つの研究を実施した。一つは黒潮続流の流路変化の研究である。人工衛星による観測資料の解析から、黒潮続流が過去約30年間でおよそ200kmも北上したことを示した。さらに、高解像度の海洋モデルを用いた数値実験により、この黒潮続流の北上が海上風の変化に起因することを明らかにした。この成果を国際誌(Scientific Reports)に発表した。もう一つは、北西太平洋における海洋熱波の将来予測の研究である。世界で初めて複数シナリオを考慮した高解像度のアンサンブル予測を行い、海洋熱波の地域スケールでの将来変化を不確実性を含め複数シナリオで議論した。この成果も国際誌(Journal of Oceanography)に発表した。 本課題の研究期間全体を通して、黒潮海流系の時間変動に関する多くの知見を得た。例えば、冬季の海上風が黒潮流量変動に支配的な影響力を有しているという発見は本課題の核心的な問いに解答するものであった。それら研究成果は、黒潮海流系の時間変動特性の理解の基礎になるものである。加えて、本課題では黒潮海流系が海面水温場に及ぼす影響など、発展的なテーマにも取り組み、成果を上げることができた。黒潮海流系が海洋場や大気場に大きな影響を及ぼすことを示すことができた。
|