研究課題/領域番号 |
21K20387
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0204:天文学、地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
益永 圭 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 宇宙航空プロジェクト研究員 (60909521)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 火星 / ひさき / ダストストーム / 大気波動 / MAVEN / 電離圏 / 超高層大気 / 大気流出 |
研究開始時の研究の概要 |
火星からの大気流出機構を理解するためには、太陽風の影響だけでなく、下層大気からの影響を調べることも必須である。本研究は宇宙望遠鏡や複数の火星探査機の観測データを用い、ダストストームや大気波動が火星超高層大気成分の総量、分布、流出量へ及ぼす影響を調べ、ダストストーム及び大気波動が火星の大気流出へ果たす役割を解明する。
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研究実績の概要 |
現在の火星は寒冷かつ乾燥した気候で、表面に液体の水は存在していない。しかし、近年の探査で得られた地形的特徴から、過去の火星は温暖で表面に液体の水が存在したと考えられている。これまで、過去に存在した水を除去する機構の一つとして大気の宇宙空間への流出が重要視され、太陽風が駆動する大気流出機構についての理解が進んできた。一方、近年の観測により、火星超高層大気の動力学はダストストームや大気波動という下層大気で発生する現象と大きく関連していることがわかってきた。そのため、火星からの大気流出機構を理解するためには、太陽風の影響だけでなく、下層大気からの影響を調べることも必須である。本研究はひさき宇宙望遠鏡および複数の火星探査機の観測データを用い、ダストストームや大気波動が火星超高層大気成分の総量、分布、流出量へ及ぼす影響を調べる。これにより、ダストストーム及び大気波動が火星の大気流出へ果たす役割を解明する。 まず、今年度は投稿中であった論文(ひさき衛星がダストストーム中に観測した火星超高層大気中の水素原子と酸素原子の総量の周期変動と下層大気中の大気波動の関連性を示唆する論文)が国際学術誌Nature Communicationsに受理され、出版された。 これに加え、ひさき衛星の火星観測と同時期の火星探査機MAVENのイオン質量分析器のデータを解析し、下層大気で発生するダストストームや大気波動の電離圏への影響を調べた。その結果、電離圏中のプラズマにも大気波動と類似した特徴的周期性が現れることがわかった。これは火星熱圏中の二酸化炭素分子や酸素原子などが周期的な化学反応によって生成・消失する効果が電離圏プラズマの生成・消失にも影響が及んでいることを示唆している。本研究内容は論文としてまとめ、現在投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の目標は、火星探査機MAVENの紫外分光観測器やプラズマ観測器の観測データを解析し、火星熱圏の水素原子や酸素原子のコラム量空間分布及び誘導磁気圏尾部等から流出するこれらのイオンフラックスを導出することである。この結果と下層大気中のダスト量や大気波動の変動周期を比較し、ダストストームや大気波動が大気流出へ及ぼす影響を調べることができる。 しかし、今年度はひさき衛星の火星観測に関する論文が受理されたものの、論文リバイスに想定以上の時間を要した。結果として次の研究計画であるMAVENの紫外分光観測データの解析を進めることが遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
今後はダストストーム及び大気波動が電離圏プラズマの数密度変動へ及ぼす影響を論文としてまとめ、国際学術論文へ投稿する。さらに大気流出への影響も調べるため、水素イオンや酸素イオンの流出フラックスの時空間変動についても調べる。また、その他のダストストーム期間における水素大気光や酸素大気光の時空間変化についてMAVENの紫外分光器のデータも解析を進める予定である。
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