研究課題/領域番号 |
21K20397
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0301:材料力学、生産工学、設計工学、流体工学、熱工学、機械力学、ロボティクス、航空宇宙工学、船舶海洋工学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
徳永 透子 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30767299)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | Ti合金 / 組織制御 / 力学特性 / 配向組織 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,環境負荷問題の深刻化に伴う二酸化炭素の排出量削減の要請に対し,輸送機器の軽量化を目的として,軽量でかつ高強度・高延性を有する新材料の開発が強く望まれている.本研究ではTi合金に着目し,硬質・軟質相から成る複相合金中の層状組織の微細化と一方向性凝固を組み合わせた「極微細配向化組織制御」に取り組む.特に,Ti-Co共晶合金等に着目し,軟質相への応力集中,層間の界面拘束効果による新たな局所変形モードの誘起を促す.さらに,第三元素の添加により変形モードを制御することで,従来にない変形機構の発現,これを通じた新しい観点からの力学高機能化に挑む.
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研究成果の概要 |
本研究では,硬質・軟質複相合金中の層状組織の微細化と配向化による超軽量・高強度新規耐熱Ti合金の開発を目指した.Ti-Fe系およびTi-Co系共晶合金を一方向性凝固により作製し,光学顕微鏡,走査型電子顕微鏡による微細組織観察を実施したところ,Ti-Co共晶合金において著しく微細なナノレベルの層状組織が観察された.また,室温圧縮試験においては両合金において2 GPaに迫る高い降伏強度が得られた.当初目指していた新たな局所変形モードの誘起による高強度・延性の発現は実現できなかったが,さらなる力学特性の向上には今回発見されたナノレベル微細層状組織の形態制御が重要であることが示唆された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年の環境負荷問題の深刻化に伴い,耐熱性に優れる高強度・高延性軽量材料の開発が社会的に強く求められてきたが,強度と延性がトレードオフの関係にあることなどから実現が困難であった.本研究では,強度と延性をそれぞれ別の相に担保させる複相化に着目した.極微細組織制御による高強度化を達成しつつ,複相化による界面拘束効果と組織配向化を通じた局所変形を誘導することで,新たな変形モードの誘起による延性の確保を試みた.本研究の成果は,極微細組織制御による高強度材料の開発を達成するとともに,さらなる高強度・高延性の誘導には層状組織の形態制御が重要であることを示唆しており,社会的・学術的に高い意義を有している.
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