研究課題/領域番号 |
21K20432
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0302:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐々 滉太 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (70906974)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 高温超伝導 / 全超伝導同期機 / 電気推進航空機 / 交流損失 / 液体窒素 |
研究開始時の研究の概要 |
地球温暖化防止に向け航空機を電気推進化するにあたり、小型軽量かつ高出力設計が可能な全超伝導同期機の開発が求められる。高出力化や高効率化を目的として液体水素(20K)を用いる構想があるが、落雷事故時に放電や昇温の危険性が高い。安全性の観点から、絶縁耐力に優れる液体窒素(63~77K)での冷却が妥当である。安全性を議論するにあたり、超伝導巻線に発生する交流損失を考慮する必要があるが、その特性は明らかになっていないため、定量的な予測が困難である。本研究では、超伝導線材の交流損失を定量的に予測することを可能にし、液体窒素温度で運転する航空機用の全超伝導同期機について設計指針を示すことを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究では、電気推進航空機の実現に向け、落雷事故時の過電圧等を考慮した安全な全超伝導同期機の設計について研究開発を行っている。超伝導巻線の昇温は重大な事故を起こしうるため、液体水素等に比べて比熱が大きく昇温リスクが低い液体窒素を用いた冷却を想定する。そのような全超伝導同期機について、二次元有限要素法を用いた電磁界・熱連成解析による巻線構造の設計指針の決定を目的とする。それに向け、1.磁界中の超伝導線材の交流損失特性の測定実験の実施、2.交流損失による温度変化を考慮した解析手法の確立、3.その手法による冷却に最適な巻線構造の検討、4.同手法による電圧波形等の電磁気的特性で有利な巻線構造の検討、が実施予定事項である。 2021年度では1の一部を実施、また2を完了した。2022年度では、1の測定実験の未達部分、3、4を実施予定であったが、2022年度は別業務に従事していたため研究を進めることができておらず、2021年度終了時点から進捗はない。そのため、本研究では事業期間を1年延長し、2023年度まで研究を実施することとしている。 2023年度は、1においては、直流と交流の重畳磁界中の超伝導線材に発生する交流損失を測定する実験を実施し、交流損失特性の解明に取り組む。その結果を、2021年度に2で確立した解析手法に適用することで同期機内の超伝導界磁巻線での発熱を見積もった上で、その熱を効率的に冷却しうる界磁巻線構造を検討する(3)。また、熱特性のみにとどまらず、電磁気的特性の観点からも、最適な界磁巻線構造を検討する予定である(4)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年度の1年間、研究活動以外の業務に従事しており、研究を進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に実施を予定していた実験や解析を行う。具体的には下記の通り。 2021年度に引き続き交流損失測定実験を行う。得られた結果について、磁界条件(直流磁界強度および交流磁界強度)に対する交流損失特性を明らかにすることを目的とする。これにより、ある特定の条件で交流損失測定実験を実施すれば、他の条件での交流損失値の予測が可能となる。得られた交流損失特性を、2021年度に確立した解析手法に適用することで、特に界磁巻線における交流損失による温度変化をより詳細に見積もることが可能になるため、冷却の観点から最適な界磁巻線構造の検討を実施する予定である。その後、トルクや電圧波形等、電磁気的特性の観点から有利な界磁巻線構造を検討する。
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