研究課題/領域番号 |
21K20449
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0303:土木工学、社会システム工学、安全工学、防災工学およびその関連分野
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
仲 ゆかり (小坂田 ゆかり) 京都大学, 防災研究所, 助教 (30909445)
|
研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 集中豪雨 / 地球温暖化 / 梅雨前線 / 温暖化 / メカニズム / 観測情報 / 数値モデル |
研究開始時の研究の概要 |
近年,梅雨期の集中豪雨で毎年のように日本各地で甚大な被害が発生している.本研究は,こうした梅雨集中豪雨の10年後,20年後,…という時間連続的な将来変化予測と現象メカニズムの解明,そしてメカニズムの将来変化予測を目指すものである.本研究は,従来の多くの気候変動研究とは異なり,将来予測に現在の観測情報を利用して新たな温暖化予測手法を構築し,その手法を用いて上記の課題解決を目指すという点で非常に独創性が高い.これらの研究成果は,本研究の新たな温暖化予測手法を通して,科学的に重要な梅雨豪雨メカニズムの将来予測を実現するとともに,防災・気候変動適応計画へまでの応用も期待される.
|
研究実績の概要 |
本年度は将来気候における予測に加えて,観測データを用いて過去の事例に対しても解析を行うことで,梅雨期の集中豪雨(以下,線状対流系)のメカニズム解明を目指した. まず,過去の線状対流系事例(2012年亀岡豪雨と2014年広島豪雨)に対して,再現実験及び将来気候における2度上昇実験と4度上昇実験を行った結果,バルク・リチャードソン数という浮力と乱流の比を表す指標がどの実験においても一定値を取ることを発見した.線状対流系においてバルク・リチャードソン数の重要性は既往研究でも示されていたが,温暖化した将来気候でも線状対流系が発生するための必要条件は変化しないという重要な可能性を示唆している. これを踏まえ,将来予測に加えて,観測データである解析雨量を用いて過去の線状対流系事例の解析を行った.過去の線状対流系を(A)前線による大規模な収束によって発生する線状対流系,(B)前線から孤立して発生する局所的な線状対流系に分類して発生環境場の解析を行った結果,(B)の局所的で自己組織性の強い線状対流系においてバルク・リチャードソン数がより重要であることが明らかになった. 今後は集中豪雨が発生するための必要条件および十分条件を整理するとともに,それらの現象メカニズムそのものの将来変化を解析していく.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
数値シミュレーション及び気候モデル解析を軸に,梅雨期の集中豪雨の将来変化及びメカニズムの変化解析に着手できているため,概ね順調に進展してきていると考えている. 今後はより,擬似温暖化実験手法を発展させるとともに現象のメカニズムを明らかにしていく予定である.
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,集中豪雨事例の発生メカニズムに関連する必要条件と十分条件を整理する.そして,擬似温暖化実験手法を軸とし,過去の観測情報と将来予測のための数値実験手法を融合させることで,新たな擬似温暖化実験手法の構築に取り組む予定である.
|